キッチンパントリーで後悔しないために|最適な間取り・寸法・設計ポイントを解説
2022年04月24日
2026年03月24日
キッチンをリノベーションする際に、ぜひ検討したい収納のひとつが「パントリー」です。キッチンの近くに設けることで、効率の良い家事動線を実現しながら、キッチン周りをすっきりと整えられる収納スペースとして人気を集めています。
一方で、「パントリーを作ったけれど使いにくい」「思ったより収納できなかった」といった後悔の声があるのも事実です。実はパントリーは、設置場所や広さ、棚の寸法などの設計次第で使い勝手が大きく変わる収納でもあります。
そこで今回は、パントリーの基本的な役割から、後悔しないための間取りや寸法の考え方、設計時のポイントまで詳しく解説します。これからキッチンリノベーションを検討されている方は、ぜひ参考にしてみてください。
CONTENTS
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パントリーとは?キッチン収納との違い
パントリーとは、キッチンの近くに設ける収納スペースのことで、日本語では「食品庫」とも呼ばれます。常温保存できる食料品や調味料、ラップなどの日用品、使用頻度の低いキッチン家電などをまとめて収納できるのが特徴です。
一般的なキッチン収納が食器や調理器具など「調理中によく使うもの」を収納する場所であるのに対し、パントリーは食料品や日用品のストックをまとめて保管する収納としての役割を担います。
まとめ買いした食材や日用品の置き場所を確保できるため、キッチン周りをすっきりと保ち、家事のしやすい空間づくりにもつながります。
パントリーの設置がおすすめな方
パントリーは、住まいの広さやライフスタイルに合わせて検討することが大切です。特に、次のような方にはパントリーの設置がおすすめです。
・まとめ買いをすることが多い
・キッチン周りをすっきりと保ちたい
・家族が多く、食料品や日用品のストックが多い
・災害時の備蓄を収納したい
・料理が好きで食材や調味料の種類が多い
・家族で家事を分担しやすい収納をつくりたい
一方で、収納するものが少ない場合や、キッチン収納だけで十分足りている場合は、必ずしもパントリーが必要とは限りません。パントリーを設置する際は、収納したいものの量や使い方をイメージしながら検討することが大切です。
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パントリー設置でよくある後悔・失敗例と対策
パントリーはキッチン周りをすっきりと整え、収納力を高めてくれる便利なスペースですが、設計や使い方を十分に考えずに設置してしまうと「思ったより使いにくい」と感じてしまうケースもあります。
実際にリノベーションや新築の相談でも、「パントリーを作ったけれど使いづらい」「収納がうまく活用できていない」といった声を聞くことも少なくありません。
ここでは、パントリー設置でよくある後悔や失敗例と、その対策についてご紹介します。
①奥行きが深すぎて管理できない
パントリーの棚の奥行きが深すぎると、奥に収納したものが見えなくなり、在庫の管理がしにくくなることがあります。特に食品ストックは、奥に入れたものを忘れてしまい、賞味期限が切れてしまうといったことも起こりやすくなります。
対策
パントリーの棚の奥行きは、30cm〜45cm程度を目安にすると使いやすいと言われています。奥まで手が届きやすく、収納しているものを一目で把握しやすくなるため、管理もしやすくなります。
また、可動棚を採用すると収納する物の大きさに合わせて棚の高さを調整でき、より使いやすいパントリーになります。
②湿気によるカビや害虫問題
パントリーは食品を保管する場所でもあるため、湿気がこもるとカビや害虫が発生する原因になることがあります。
特にウォークインタイプのパントリーは、風通しが悪くなりやすいため注意が必要です。
対策
湿気対策として、以下のような工夫を取り入れると安心です。
・パントリーに換気扇や通気口を設ける
・窓を設置して空気の入れ替えができるようにする
・除湿剤や消臭剤を活用する
食品を安心して保管できる環境を整えることが大切です。
③照明が暗く在庫が把握できない
パントリー内の照明が暗いと、収納している物が見えにくく、どこに何があるのか分かりにくくなってしまいます。
特に奥行きのある棚やウォークインタイプの場合、照明が不足していると使い勝手が大きく低下してしまうことがあります。
対策
パントリーには、収納物をしっかり確認できる明るさの照明を設置しましょう。
天井照明に加えて、必要に応じて棚下照明やセンサーライトを取り入れると、より見やすく使いやすい収納になります。
④動線が悪く逆に使いづらい
パントリーの設置場所によっては、キッチンから遠かったり動線が悪くなったりして、かえって使いにくくなるケースもあります。
例えば、調理中に何度も移動が必要な位置にあると、作業効率が下がってしまうことがあります。
対策
パントリーは、キッチンの横や背面など調理動線の近くに設けるのがおすすめです。
また、玄関から近い位置に設置することで、買い物から帰ってきた際に食材や日用品をスムーズに収納できるというメリットもあります。
家事動線を意識して設計することで、より使いやすいパントリーになります。 -
キッチンパントリーの種類と選び方
パントリーにはいくつかの種類があり、間取りやライフスタイルによって使いやすいタイプは異なります。収納力を重視したいのか、家事動線を優先したいのかによって、最適なパントリーの形も変わってきます。ここでは、代表的なパントリーの種類と、それぞれの特徴についてご紹介します。
壁付けタイプ


◁左の画像の施工事例を見る
▷右の画像の施工事例を見る
壁付けタイプのパントリーは、キッチンの壁面やキッチン横のスペースに棚を設けて収納スペースをつくるタイプです。ウォークイン型のように専用の部屋をつくる必要がないため、限られたスペースでも取り入れやすいのが特徴です。
オープン棚として設置することで、収納している物が一目で確認できるため、食品や日用品の在庫管理がしやすいというメリットがあります。調理中でも必要なものをすぐに取り出すことができるため、家事動線を妨げにくい収納方法といえるでしょう。
また、壁面収納としてデザインすることで、キッチン空間に自然になじみ、見せる収納として楽しむこともできます。お気に入りの食器や調味料をディスプレイすることで、キッチンのインテリアの一部として活用することも可能です。
ウォークインタイプ


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ウォークインタイプのパントリーは、小さな部屋のように人が中に入れる収納スペースを設けるタイプです。棚を複数設置できるため収納力が高く、食料品や調味料だけでなく、キッチン家電や日用品などもまとめて収納できるのが大きな特徴です。
収納スペースが広いため、まとめ買いした食品や飲料、非常食などの備蓄も保管しやすく、キッチン周りをすっきりと保つことができます。また、キッチン家電をパントリー内に置くことで、生活感を抑えた空間づくりにもつながります。
ただし、スペースを確保する必要があるため、通路幅や棚の奥行きなどを事前にしっかり計画しておくことが大切です。
ウォークスルータイプ


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ウォークスルータイプのパントリーは、入口と出口の2方向から出入りできる通り抜け型の収納スペースです。キッチンと玄関、またはキッチンと廊下などをつなぐ位置に設けることで、家の中をスムーズに移動できる回遊動線をつくることができます。
例えば、玄関からパントリーを通ってキッチンへ移動できる間取りにすることで、買い物後の食材や日用品をそのまま収納することができ、家事の負担を軽減することにつながります。また、複数の動線を確保できるため、家族が同時にキッチンを使う場合でも動きやすいというメリットがあります。
収納スペースとしてだけでなく、家事動線を効率化できる間取りとして人気の高いパントリータイプです。 -
家事効率を高めるパントリーの設置場所と間取り
パントリーは収納力を高めるだけでなく、設置場所によって家事のしやすさが大きく変わります。毎日の調理や買い物後の片付けをスムーズにするためには、家事動線を意識した位置にパントリーを設けることが重要です。ここでは、パントリーの設置場所として人気の高い間取りをご紹介します。
■キッチン周辺
パントリーの設置場所として最も一般的なのが、キッチンの横や背面などキッチン周辺です。調理中に必要な食材や調味料、キッチン用品などをすぐに取り出すことができるため、効率よく作業を進めることができます。
また、キッチンの背面収納と組み合わせることで、食品ストックやキッチン家電などをまとめて収納でき、キッチン周りをすっきりと保つことができます。調理動線の近くに配置することで、使いやすく管理しやすいパントリーになります。
■玄関周辺
玄関近くにパントリーを設ける間取りも人気があります。買い物から帰ってきた際に、重たい飲料やお米、食材などをキッチンまで運ばずにそのまま収納できるため、家事の負担を軽減することができます。
また、玄関からパントリー、キッチンへとつながるウォークスルータイプの間取りにすることで、買い物後の動線がスムーズになり、より効率よく家事を行うことができます。収納と動線の両方を意識したパントリーの配置が、快適な暮らしにつながります。 -
キッチンパントリーの最適な寸法・広さの目安
パントリーは、広ければ良いというわけではなく、使いやすい寸法で計画することが大切です。棚の奥行きや通路幅、パントリー全体の広さによって収納のしやすさや管理のしやすさが大きく変わります。ここでは、使いやすいパントリーをつくるための寸法や広さの目安をご紹介します。
・奥行きは「30cm〜45cm」が使いやすい
パントリーの棚の奥行きは、30cm〜45cm程度が使いやすいと言われています。
この奥行きであれば、食品や日用品を一列で並べて収納できるため、何がどこにあるかを一目で把握しやすくなります。
例えば、奥行き30〜45cmの棚には次のようなものを収納できます。
レトルト食品や缶詰
調味料やスパイス
パスタや乾物
ラップやキッチンペーパー
食品ストック用の収納ケース
奥行きが深すぎると奥の物が見えにくくなり、在庫管理がしづらくなるため注意が必要です。
・通路幅は「60〜80cm」を目安に確保する
ウォークインタイプやウォークスルータイプのパントリーでは、通路幅の確保も重要なポイントです。
一般的には、60〜80cm程度の通路幅があると使いやすいとされています。
約60cm:1人で出入りするのにちょうどよい幅
約70〜80cm:物を持って移動しやすく、収納作業もしやすい
通路幅が狭すぎると収納物の出し入れがしづらくなり、パントリーが使いにくくなる可能性があります。
・棚は「可動式」を選択する
パントリーの棚は、固定棚ではなく可動棚(高さを調整できる棚)にしておくのがおすすめです。
収納する物の大きさは、食品・日用品・キッチン家電などさまざまなため、棚の高さを調整できることで収納の自由度が高まります。
例えば、
上段:使用頻度の低い調理家電や保存容器
中段:食品ストックや調味料
下段:お米や飲料など重たい物
といったように、収納する物に合わせて整理しやすくなります。
・パントリーに必要な広さの目安は「1〜2畳」
パントリーの広さは、収納量や家族構成によって異なりますが、1〜2畳程度が一般的な目安です。
約1畳のパントリー:食品ストックや日用品の収納が中心。
レトルト食品、飲料、調味料、キッチンペーパーなどをまとめて収納できます。
約1.5畳〜2畳のパントリー:食品ストックに加えて、キッチン家電や大型の収納ケースなども収納可能。
お米や飲料の箱買い、ホットプレートやミキサーなども収納しやすくなります。
広さに余裕がある場合は、ウォークインタイプにして収納量を増やしたり、家電スペースを設けたりすることで、より使い勝手の良いパントリーをつくることができます。
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パントリー設置の際の注意点
パントリーは収納力を高めてくれる便利なスペースですが、事前にしっかりと計画しておかないと「思ったより使いにくい」と感じてしまうこともあります。使いやすいパントリーにするためには、収納する物や動線、設備などをあらかじめ検討しておくことが大切です。ここでは、パントリー設置の際に意識しておきたいポイントをご紹介します。
①収納する物を事前にリストアップする
まずは、パントリーに収納する予定の物をあらかじめ整理しておくことが重要です。
食品ストックだけでなく、キッチン家電や日用品などを収納する場合も多いため、収納したい物をリストアップしておくことで必要な棚の数やサイズを計画しやすくなります。
例えば、以下のような物を収納するケースが多く見られます。
・レトルト食品や缶詰、乾物などの食品ストック
・ラップやキッチンペーパーなどの日用品
・お米や飲料のストック
・ホットプレートやミキサーなどのキッチン家電
収納する物を事前に把握しておくことで、無駄のないパントリー設計につながります。
②コンセントの位置と必要数を決める
パントリー内で家電を使用する場合は、コンセントの位置や数をあらかじめ計画しておきましょう。
電子レンジやトースター、コーヒーメーカーなどをパントリー内に設置する場合、コンセントが不足していると使いにくくなることがあります。
また、将来的に家電を増やす可能性も考え、余裕をもった数のコンセントを設置しておくと安心です。
③通路幅と扉の有無を確認する
ウォークインタイプやウォークスルータイプのパントリーでは、通路幅や扉の有無も重要なポイントです。
通路幅が狭すぎると収納物の出し入れがしづらくなるため、60〜80cm程度を目安に確保するのがおすすめです。
また、扉を設けるかどうかによって使い勝手や見た目も変わります。
生活感を隠したい場合は扉付き、出入りのしやすさを重視する場合はオープンタイプなど、使い方に合わせて検討しましょう。
④ゴミ箱・分別スペースをあらかじめ確保する
パントリー内にゴミ箱や分別スペースを設けるケースも増えています。
キッチン周りにゴミ箱を置くスペースを確保しておくことで、見た目をすっきりさせながら、家事動線を整えることができます。
ゴミ箱を設置する場合は、ゴミ袋の交換や分別のしやすさも考慮してスペースを計画することが大切です。
⑤湿気対策をする
食品を保管するパントリーでは、湿気対策も欠かせません。
湿気がこもるとカビや害虫の原因になる可能性があるため、通気性を確保することが大切です。
例えば、以下のような対策が有効です。
・換気扇や通気口を設ける
・窓を設置して空気の入れ替えをしやすくする
・除湿剤を活用する
食品を安心して保管できる環境を整えておきましょう。
⑥将来のライフスタイル変化を想定する
パントリーは長く使う収納スペースのため、将来のライフスタイルの変化も考慮して設計しておくことが大切です。
家族構成の変化や生活スタイルの変化によって、収納する物が変わることもあります。
可動棚を採用するなど、収納方法を柔軟に変更できる設計にしておくことで、長く使いやすいパントリーになります。 -
パントリー収納アイデア実例
パントリーは収納量が多い分、整理方法によって使い勝手が大きく変わります。収納ケースや棚の使い方を工夫することで、見やすく取り出しやすいパントリーをつくることができます。ここでは、パントリーをより便利に活用するための収納アイデアを実例とともにご紹介します。
ナチュラルな棚でつくるウォークインパントリー

心地よい癒しをもたらすお洒落カフェのようなマンションリノベ
愛知県名古屋市
築年数:33年
間取り:(before)3LDK→(after)2LDK+WIC
リノベーション費用:約1,400万円(2022年施工)
狭くて暗かったキッチンからお洒落で明るく開放的なキッチン空間へと生まれ変わりました。夏場は特に熱がこもり暑かったですが、キッチンの位置を移動することで風通しが良くなりいつでも快適に料理ができます。
また、パントリー内に設けたカウンターはちょっとした作業台としても重宝します。
シンプルデザインの壁面パントリー

ミッドセンチュリー家具で彩るモノトーンモダンな空間
愛知県春日井市
築年数:25年
間取り:(before)5LDK→(after)4LDK
リノベーション費用:約870万円(2022年施工)
施主様が好きなミッドセンチュリーな家具が映えるモダンな雰囲気に仕上げたLDK。ブラックに塗装したブレースは、視線の抜ける空間になるようにデザインとして魅せました。
扉付きのパントリーや、キッチン前面にも収納スペースを設けることで収納力を高め、生活感を上手に隠してすっきりと片付くようにしています。
キッチン奥に設けたウォークスルーパントリー

開放感に包まれた勾配天井が美しいマンションリノベ
愛知県
築年数:25年
間取り:(before)4LDK→(after)3LDK
キッチンと背面のカップボードはオールステンレス。耐久性があるのに加えて汚れが付きにくいのでお手入れも楽ちんです。
奥行きがあり生活感が出やすい冷蔵庫はパントリー内に配置し、キッチンのデザイン性を損なわないようにしています。
自然光が入る明るいウォークインパントリー

インテリアが映える経年美を愉しむ家
愛知県一宮市
間取り:(before)4SLDK→(after)5LDK
リノベーション費用:約1,125万円(2021年施工)
余計な装飾をせず白を基調にまとめたお住まいは、まるでお洒落な雑貨屋のような空間。
随所に散りばめられた真鍮のインテリアは空間を引き締め、シンプルながらも存在感を発揮します。
キッチン横にはパントリーを設計。パントリー内にある窓は換気ができるだけでなく、自然光を取り込むことができるのも嬉しいポイント。
収納力のある広々パントリー

BARのある大人空間へのリノベーション
愛知県名古屋市天白区
築年数:45年
間取り:(before)4LDK→(after)1LDK+パントリー+WIC+ワークスペース/p>
リノベーション費用:約1,230万円(2019年施工)
ご夫婦が世界中から集めたお酒のボトルや小物を飾れる棚も造作し、お酒を嗜む趣味をお持ちのご夫婦にぴったりの空間です。
広々としたパントリーは、奥様の趣味であるドライフラワーづくりも愉しめます。
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まとめ
パントリーは、食料品や日用品のストックをまとめて収納できる便利なスペースです。設置することでキッチン周りをすっきりと保ちながら、家事効率を高めることにもつながります。
一方で、棚の奥行きや通路幅、設置場所などをしっかり計画しておかないと、使いにくい収納になってしまうこともあります。収納する物の量や家事動線を考えながら、ライフスタイルに合ったパントリーを計画することが大切です。
KULABOでは、お客様の暮らし方やご希望をお伺いしながら、デザイン性と使いやすさの両方を考えたリノベーションのご提案を行っています。パントリーの設置やキッチンリノベーションをご検討の方は、ぜひお気軽にご相談ください。
このコラムの執筆者
林 果凛











