隠す収納と見せる収納、どちらが正解?賢い使い分けと収納計画のコツも解説
2025年07月08日
2025年07月08日
「せっかく収納しても、部屋がごちゃついて見える…」「生活感が出すぎるのは避けたい…」そんな悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。
収納には大きく分けて「見せる収納」と「隠す収納」の2つのスタイルがあります。どちらの収納を採用するか決めるときに大切なのは、自分の暮らしやライフスタイルに合った収納スタイルを見つけ、うまく使い分けることです。
このコラムでは、それぞれのメリット・デメリットを比較しながら、快適で心地よい空間をつくるための収納計画のポイントを解説します。
実際にKULABOで施工した事例も交えながらご紹介しますので、収納に悩んでいる方はぜひ参考にしてみてください♪
CONTENTS
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まずは知っておきたい!収納スタイルの違いとは?
収納には大きく分けて「見せる収納」と「隠す収納」の2種類があります。
どちらにもメリット・デメリットがあり、正解は一つではありません。
下記に「見せる収納」と「隠す収納」の特徴をまとめました。
■見せる収納とは
見せる収納とは、収納しているモノをあえて外から見える状態で配置する収納方法のことです。オープンラックや壁面シェルフなどを活用して、お気に入りのインテリア雑貨や日用品をディスプレイのように収納することで、収納自体がインテリアの一部になります。
この収納方法の最大の特徴は、よく使うアイテムをすぐ手に取れる利便性と、空間におしゃれな印象をプラスできる点です。
たとえば、同じデザインの収納ボックスやカゴを使ったり、調味料を詰め替えた容器でそろえたりすることで、見た目の統一感が生まれます。また、趣味のコレクションやアクセサリー、小物などを飾るように収納すれば、自分好みの空間を作ることもできます。
ただし、モノが乱雑になってしまうと一気に「散らかった印象」になってしまうため、常にある程度の整理整頓が必要になります。
■隠す収納とは
隠す収納とは、引き出しや扉付きの家具、収納ボックスなどを使って、モノを視界から隠す収納方法です。収納物が外から見えないため、空間全体をすっきりと見せることができ、生活感を抑えたい場所や来客の目に触れやすい場所に最適です。
この収納方法は、特にホコリを避けたいモノや、見た目がゴチャゴチャしたアイテムの収納に向いており、掃除やメンテナンスの頻度も少なくて済むという特徴があります。
使用頻度の低いアイテムや、見た目がごちゃつきがちな日用品などを隠すことで、整った印象の空間を保ちやすくなります。
ただし、モノを隠すことで出し入れに手間がかかったり、片付けた場所を忘れてしまったりする場合もあるため、片付け方や動線を工夫することが大切です。
どちらか一方の収納方法に偏るのではなく、自分の暮らし方や家族構成に合わせてバランスよく使い分けることが心地よい空間づくりのポイントです。
家全体の収納を「隠す収納」や「見せる収納」にするといった極端なスタイルにすると、実際の暮らしの中では維持が難しかったり、使いにくさに繋がることもあります。
そのため「どう使いたいか」で収納方法を決めることが大切です。
空間や目的に応じて収納スタイルを使い分けることで見た目だけでなく、自分の気分にもあった、快適な住まいが実現できます。
次の章では、見せる収納と隠す収納、それぞれの活かし方や使い分けのコツについてメリット・デメリットをもとに詳しくご紹介していきます。 -
見せる収納のメリット・デメリットと向いている人
メリット
■インテリアとして楽しめる
お気に入りの雑貨や小物を飾るように収納でき、空間のアクセントとしておしゃれな雰囲気を演出できます。また季節や気分で飾るものを変えることによって、簡単にお部屋のテイストを変えることができます。
■物の出し入れや管理がしやすい
収納物が見えることで、何がどこにあるかひと目で把握でき、使いたいときにすぐ手に取れます。
■柔軟に配置でき、移動も簡単
作り付けの収納や大型の収納家具を設置すると、その家具に合わせて収納する必要が出てきます。収納ボックスやカゴなどを使えば、設置やレイアウト変更もしやすく、ライフスタイルに応じて調整可能です。
■空間に開放感を与える
引き出しや扉がない分、圧迫感が少なく、空間を広く感じさせる効果があります。
デメリット
■部屋が散らかって見えやすい
収納物が常に目に入るため、少し乱れているだけでも部屋全体がごちゃついて見えてしまいます。
■ホコリがたまりやすく、掃除の手間がかかる
収納物が外に出ている分、ホコリが積もりやすく、こまめな掃除が必要になります。
■地震時に物が落下しやすい
扉や仕切りがないため、揺れによって物が落ちたり壊れたりするリスクが高くなります。
■常に整理整頓が求められる
見せる収納は「見せる前提」なので、物の配置や見た目に常に気を配らなければならず、「隠す収納」よりも手間がかかります。
見せる収納が向いている人
■おしゃれな空間づくりを楽しみたい人
見せる収納は個性のある空間を演出できるため、お気に入りの小物や雑貨を飾るのが好きな方にぴったりです。
■日常的に使う物が多い人
よく使うものを手に取りやすい環境にすることができるので、ストレスのない動線づくりに役立ちます。
■片付けや整理が得意な人
片付けが得意な方であれば、すっきりした美しい収納を維持しやすいです。
■模様替えやレイアウトを楽しみたい人
家具や収納用具の移動がしやすいため、部屋の雰囲気を手軽に変えたい方に向いています。 -
隠す収納のメリット・デメリットと向いている人
メリット
■見た目がすっきり整う
収納物が外から見えないため、空間全体が落ち着いた印象になり、ごちゃごちゃしていないキレイな見た目になります。
■生活感が出にくい
日用品や細かい物などを隠して収納することで、部屋の「生活感」を抑え、洗練された雰囲気になります。
■掃除がしやすい
収納しているものにホコリがたまりにくく、掃除の手間が軽減されます。
■収納力が高い
扉や引き出し付きの収納は奥行きがあるものも多く、重ねたり隙間に入れたりしてたくさんの物をまとめて収納できます。
■片付けが苦手な人にも適している
雑多に収納したとしても扉や引き出しで隠れるため見た目は整います。「見える収納」よりもハードルが低く、片付けが苦手な人でも続けやすいです。
デメリット
■収納物の把握がしづらい
中が見えない分、「何をどこに入れたか」を忘れやすく、知らぬ間に同じ物を重複して購入してしまうこともあります。
■出し入れにひと手間かかる
扉や引き出しを開けたり、収納ケースを取り出す動作が必要なので、使いたいときにすぐ取り出せないことがあります。
■不要なものが溜まりやすい
収納物が見えないことにより、「とりあえず入れておく」が続き、気づかないうちに不要な物が増えてしまいがちです。
■扉の開閉スペースが必要
開閉式の収納家具は前後のスペースが必要になり、扉の種類によっては、開閉スペースが大きくなる場合があります。
隠す収納が向いている人
■生活感を見せたくない人
来客時にもすっきりとした空間を保ちたい人や、暮らしに落ち着いた雰囲気を求める人にぴったりです。
■片付けがあまり得意でない人
多少雑にしまっても外から見えないため、細かいところまで片付けをする必要がありません。そのため片付けが苦手な方でも空間が整いやすくなります。
■掃除や手入れの手間を減らしたい人
ホコリがたまりにくく、物の表面を頻繁に拭く必要がないので、掃除の負担を減らせます。
■収納量をしっかり確保したい人
見せる収納よりも多く収納できるため、見た目より機能性を重視する方や、まとめてたくさん収納したい方に向いています。 -
空間を最大限に活かす!隠す収納と見せる収納の使い分けのコツ
*収納する物の特性に応じて使い分ける
「見せる収納」を採用するか「隠す収納」を採用するかは、「何をしまうか」によってを使い分けることが大事です。たとえば、見た目がおしゃれな日用品や趣味のコレクションなどは、あえて見せることでインテリアの一部になります。一方、雑多な日用品や生活感のあるモノは「隠す収納」にすると、空間がすっきり整って見えます。
収納する物の使用頻度・見た目・使いやすさを考慮して、隠すか見せるかを選ぶと、見た目も機能も満足度の高い収納計画になります。
*場所や動線に合わせて使い分ける
収納の「見せる・隠す」は、家の中の場所によって使い分けるのも効果的です。
場所ごとにオススメの収納方法をまとめてみました。ぜひ参考にしてみてください。
リビング
オススメ収納方法:【隠す収納】
リビングは長い時間を過ごすリラックスするための空間です。散らかっていると気持ちが落ち着かず、せっかくのくつろぎ時間も台無しになってしまいます。また、リビングは住まいの中でも広い面積を占めるため、モノが目につくと空間全体の印象も損なわれてしまいます。
そこでおすすめなのが、「隠す収納」です。目に入る小物をできるだけ扉の中に収めて、ゆとりのある収納家具を選ぶことで、部屋全体にすっきりとした広がりと高級感を演出できます
キッチン
オススメ収納方法:【見せる収納】
キッチンでは、毎日の調理や片付けを効率よく進めるために、すぐ手に取れてすぐに戻せる収納が求められます。そこで活躍するのが、オープン棚や吊るす収納などの「見せる収納」です。反対に、食品のストックやパッケージ類など、生活感の出やすいものは見えないように「隠す収納」で調整するのがポイントです。
玄関
オススメ収納方法:【隠す収納】
玄関は住まいの顔となる場所なので常にすっきりとした状態を保ちたい空間です。靴などをそのまま出しておくと、雑然と見えるだけでなく、においやホコリの原因にもなります。
そのため、扉付きのシューズボックスなどを活用した「隠す収納」が効果的です。収納の上部はカギやちょっとした雑貨を置けるスペースとしても使えるので、機能性と見た目のすっきりさを兼ね備えた玄関づくりが可能になります。
書斎
オススメ収納方法:【見せる収納】
書斎や個人の部屋など、自分だけが使う空間には、見せる収納を積極的に取り入れるのがおすすめです。お気に入りの本や雑貨、趣味のコレクションなどは、扉の中にしまうよりも、見える場所に飾ることで空間に自分らしさが出ます。プライベートな空間だからこそ、他人の目を気にせず、自分が心地よく感じる収納スタイルを選びましょう。見せる収納は、インテリアの一部として日々の気分を高めてくれる効果もあります。
*ライフスタイルや家族の性格に合わせてバランスをとる
家族の生活スタイルや性格によって、心地よい収納の形は大きく異なります。
たとえば、きっちり整理整頓するのが得意な方には「見せる収納」のほうが楽しく空間をおしゃれにすることができます。一方で、片付けが苦手な方や小さなお子様がいる家庭では、「隠す収納」で見た目を整えた方がストレスなく、快適な暮らしが実現しやすいです。 -
リノベーションで実現する理想の収納計画のコツ
*物の適正量を見極める
快適な収納計画を立てるうえで、まずは「どれだけのモノを持っているのか」を把握することが大切です。収納スペースよりもモノの量が多ければ、当然あふれてしまい、使い勝手も悪くなります。
「本当に必要なモノか」「この場所にあるべきか」を見直すことで、収納の適正化につながり、整理整頓もしやすくなります。
*生活動線を考慮した収納配置を行う
収納は「片付ける場所」ではなく、「使いやすさ」を重視することがポイントです。使う場所の近くに収納スペースがあれば、動作がスムーズになり、ストレスの少ない暮らしになります。
たとえば、よく使う日用品は出入りのしやすい位置に、重いモノや季節モノは腰下や手の届きにくい場所へ収納するといいでしょう。このように動線や使用頻度を意識した収納配置が機能的です。
*デッドスペースを有効活用する
階段下や梁の下、天井近くなど、つい見落としがちな空間も、工夫次第で立派な収納スペースになります。収納グッズや造作棚を取り入れれば、限られた空間でも効率よく活用できるようになります。
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KULABO事例から学ぶ!隠す収納と見せる収納のアイデア
【隠す収納】
生活感をすっきりカバーする、超万能なキッチン前面収納
キッチンカウンターの前面に収納を設けることで、普段そこまで使用する機会の少ないものや日用品などを生活感を見せずにすっきり収納することができます。
建具と一体化した、壁面収納で空間になじませる
建具と同じデザインや素材で揃えることで、壁のように見せながらしっかり収納力を確保しています。空間に自然に溶け込み、生活感を抑えた印象に仕上がります。
小上がりの下を活かした、床下収納アイデア
段差を利用して、小上がりの下を引き出し式の収納スペースにした事例。空間を無駄なく使うことで、普段使わない季節物や日用品をすっきりしまうことができます。
【見せる収納】
毎日の家事が楽しくなる、見せるキッチン収納
お気に入りの器やキッチン道具をあえて見せて収納することで、使いやすさと見た目の美しさを両立できます。自分好みの見た目で家事のモチベーションを高めてくれます。
趣味をそのままインテリアに、オープン棚の魅せ収納
お気に入りのお酒やグラスがオープン棚にディスプレイされた事例。収納としてだけでなく、自分の趣味を反映した「魅せる」空間になっています。
自由にアレンジできる、有孔ボード収納
有孔ボードを用いることで、帽子やバッグなどのファッション小物を壁に掛けて、見せながらすっきり収納することができます。フックの位置を自由に変えられるので、季節や用途に応じてアレンジもしやすいです。
コレクションが主役に!魅せるシューズシェルフ
お気に入りのスニーカーやシューズをずらりと並べたシューズシェルフを取り入れた事例。靴好きにはたまらない、「見せる収納」になっています。
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まとめ
今回は見せる収納と隠す収納、それぞれについてのメリット・デメリットや使い分けのコツを施工事例を通してご紹介してきました。
どちらか一方の収納方法に偏るのではなく、ライフスタイルや空間に合わせてバランスよく使い分けることが、心地よい住まいづくりのポイントです。
KULABOでは、暮らし方に寄り添った収納計画のご提案も行っています。収納でお悩みの方は、ぜひお気軽にご相談ください。
このコラムの執筆者

青井 乃々花