趣味部屋・推し活部屋のレイアウト術|“好き”を楽しむ快適空間のつくり方

2025年08月08日

近年、在宅時間の増加やライフスタイルの多様化により、自宅に「趣味部屋」をつくる方が増えています。自分だけの時間を楽しむための空間として、快適さや使い勝手が求められる趣味部屋は、暮らしの質をぐっと高めてくれます。

今回のコラムでは、趣味部屋を設けるにあたってのメリット・デメリットやおすすめのレイアウト、趣味部屋づくりのポイントについてご紹介します。ぜひ、最後までご覧いただき参考にしてみてください。

  • 「趣味部屋」とは?

    趣味部屋(ホビールーム)とは、お気に入りのコレクションを飾ったり、読書・映画鑑賞・ゲーム・音楽鑑賞など、自分の好きな趣味を楽しむために設けられた部屋を指します。広さや設備に決まりはなく、個室としてつくる場合もあれば、リビングや寝室の一角、ロフトなど、空間を有効活用してさまざまな場所を趣味スペースとして活用できます。

    近年は働き方や生活スタイルの変化に伴い、在宅時間が増えたことで、自宅で過ごす時間をより豊かにするために趣味部屋を持つ人が増えています。特に、好きなアイドルやアーティスト、俳優、アニメのキャラクターなど特定の対象を応援する「推し活」が盛り上がりを見せています。こうした推し活を楽しむための趣味部屋は「推し活部屋」とも呼ばれ、グッズを集めて飾ったり、推しに囲まれた空間で過ごすことを楽しむ方も多くいます。

    趣味部屋を持つことで、日常の忙しさから離れて自分だけの時間に集中できるほか、好きなものに囲まれて過ごすことで心が満たされ、毎日の生活がより豊かになります。

  • 趣味部屋を設けるメリット・デメリット

    まずは、趣味部屋を設けることで得られるメリットについてご紹介します。

    メリット

    ・趣味や推し活に集中できる
    特に個室タイプの趣味部屋をつくれば、周囲の目や生活音を気にせず、趣味に没頭することができます。集中力を高めたい趣味や、推し活グッズに囲まれて過ごしたい方にぴったりの空間です。

    ・グッズや道具をすっきり収納できる
    壁面収納や可動式の棚、造作家具を活用することで、コレクションや趣味で使う道具類をきれいに整理できます。見せる収納と隠す収納を組み合わせれば、実用性とデザイン性を両立できます。

    ・日常と趣味のオンオフを切り替えやすくなる
    空間の一部を"趣味専用"と区切ることで、日常生活とのメリハリがつき、気持ちや切り替えがしやすくなります。個室はもちろん、リビングや寝室の一角でも、家具やカーテン等のインテリア、間仕切り、照明の工夫次第で「自分だけの特別な空間」をつくることができ、心のリフレッシュにもつながります。

    ・在宅時間が充実し、暮らしが楽しくなる
    自宅で過ごす時間が増えた今、自分の“好き”を存分に楽しめる空間があると、日々の暮らしの満足度も高まります。お気に入りのグッズやアイテムをディスプレイして、インテリアの一部として楽しむことで、空間そのものが居心地のよい場所に変わり、在宅時間がより豊かになります。



    上記のようなメリットがある一方で、注意しておきたいデメリットもあります。



    デメリット

    ・スペースの確保が必要
    趣味部屋をつくるには、一定の空間を割く必要があります。そのぶん、リビングや寝室などの他の部屋が狭くなったり、住まい全体に圧迫感を与えてしまうこともあります。

    ・物置化してしまうリスクがある
    収納や部屋の使い方の計画が不十分だと、気づけばモノが溜まり“物置部屋”になってしまうことも。目的や使用頻度に合った収納と、整理整頓の習慣を意識することが大切です。

    ・用途が変わった時に使いにくくなる
    趣味やライフスタイルの変化により、当初の使い方が合わなくなり、使われなくなってしまうことがあります。特定の趣味に合わせてレイアウトや収納を設計している場合、変更する際に時間や手間がかかることも。専用スペースにしてしまうとほかの用途に転用しづらいため、将来の変化を見越して、柔軟に使える設計にしておくのがおすすめです。

    ・音や明るさなど、周囲への配慮が必要な場合もある
    楽器の演奏や大音量での音楽鑑賞、プロジェクターを使った映像視聴など、音や光を伴う趣味の場合は、家族や隣室への配慮が欠かせません。防音対策や照明の工夫など、周囲にストレスを与えないための環境づくりが必要になるケースもあります。

  • 趣味部屋に必要な広さは?

    趣味部屋をつくるとき、どのくらいの広さが必要か悩む方も多いのではないでしょうか。趣味部屋の広さは、楽しむ趣味の種類やスタイルによって異なります。

    *2畳~3畳程度

    読書や音楽鑑賞、ゲームなど、座って楽しむ趣味なら2畳程度のコンパクトなスペースでも十分です。


    *4畳~6畳程度

    DIYや楽器演奏、プロジェクターで映像を楽しむなど、ある程度の動きや設備が必要な趣味には4~6畳の広さが適しています。


    *6畳以上

    防音室が必要な音楽活動や、スポーツのトレーニング、壁面収納や可動棚でコレクションを飾る見せる趣味部屋など、ゆとりあるスペースが求められます。

    趣味の特性や収納量を考慮しながら、快適に過ごせる広さを検討しましょう。

  • 趣味部屋はどこに設ける?おすすめの場所とレイアウトの考え方

    趣味部屋を設けるとなったとき、どこの場所に設けるかも非常に重要になります。この章では、趣味部屋を作る際におすすめの場所をご紹介します。

    個室として確保する

    趣味に集中したいなら個室が最適です。扉を閉めて周囲を気にせず、自分だけの空間で趣味に没頭できます。音やにおい、作業の途中状態を気にせずに済み、インテリアも自由にアレンジ可能。自分だけの特別な場所として、満足度も高まります。



    LDKの一角やリビング脇に半個室を設ける

    家族との時間を大切にしつつ、自分だけの趣味の時間も確保したい方にぴったりのレイアウトです。壁や間仕切りでゆるやかに区切ることで、程よいこもり感と開放感のバランスがとれ、孤立感を避けながら趣味に集中できます。また、既存の空間を活用することで、完全な個室を設けるよりもコストを抑えられるのも大きなメリットです。



    寝室の一角にコーナースペースをつくる

    寝室の空きスペースにデスクや棚を置いて、ちょっとした趣味の空間を設ける方法です。カーテンやパーテーション、既存の家具などで緩やかに仕切れば、プライベート感のあるコーナーに。新たに部屋を増やさなくても、今ある空間を有効活用できる点が魅力です。寝る前のリラックスタイムに趣味を楽しみたい方にもぴったり。



    デッドスペースや廊下の一部を活用する

    階段下や廊下の一角など、家の中にあるちょっとした空きスペースも、工夫次第で立派な趣味スペースに。テーブルと椅子を置くだけでも、自分だけの作業空間が生まれます。壁で仕切ることが難しい場合でも、壁に向かって座るレイアウトにすることで、視線が気にならず集中しやすくなります。



    押し入れやクローゼットを趣味部屋に転用する

    押し入れは扉を外すことで開放的になり、小さなデスクや棚を置けば作業やディスプレイの空間に。ウォークインクローゼットであれば、収納力を活かしながら趣味に没頭できるスペースとして活用できます。こもり感のある程よい狭さが、集中できる環境をつくってくれます。



    ロフトやスキップフロアを活かす

    限られた空間を有効に使えるロフトやスキップフロアは、趣味部屋としても人気のアイデアです。ロフトは収納と趣味スペースを兼ねた使い方ができ、こもれる空間としての居心地の良さも魅力。スキップフロアは、床の高低差によって緩やかに空間を分けられるため、家族の気配を感じつつ集中できる場所になります。採光や通風を工夫すれば、開放感のある快適な趣味スペースになります。



    ガレージを趣味専用の空間として使う

    作業や収納スペースとして使われることが多いガレージは、バイク・車の整備はもちろん、DIYやアウトドア用品の保管、さらにはジムやバーベキューなど、幅広い趣味に対応できる空間です。自宅の一部でありながら独立性が高いため、周囲を気にせず趣味に没頭できるのも魅力。断熱や防音を施して、自分好みにカスタマイズすれば、快適で実用的な趣味部屋として活用できます。

  • 趣味部屋づくりの注意点・ポイント

    続いて、おさえておきたい趣味部屋づくりの注意点・ポイントをお伝えします。快適で使いやすい空間にするために、事前に確認しておきたいことをチェックしておきましょう。

    ・目的と使い方を明確にする

    趣味部屋をつくる際に最も大切なのは、事前に使用目的をはっきりさせておくことです。趣味の内容によって必要なスペースや設備が異なるため、映画鑑賞や楽器演奏、車・バイクの整備、読書、ゲーム、フィギュアなどのコレクションなど、どんな趣味を楽しみたいかをまず明確にしましょう。



    ・集中できる照明計画や音環境を整える

    自然光を上手に取り入れつつ、夜間や曇りの日でも快適に過ごせる照明を用意しましょう。読書には暖色系の間接照明、パソコン作業には昼白色のデスクライトなど、用途に合った照明選びが重要です。
    また、防音対策も大切です。吸音材の設置や防音カーテンの活用、気密性の高いドアの採用など、家族や近隣への配慮を忘れずに行いましょう。



    ・収納は「見せる」と「隠す」のバランスが重要

    生活感が出やすいものや、使用頻度が低く掃除やメンテナンスが大変なものは、隠す収納を選びましょう。反対に、インテリアとして楽しめるアイテムや、頻繁に使うもの、お気に入りのコレクションは、見せる収納で飾るのがおすすめです。



    ・将来の変化にも対応できる設計にする

    趣味やライフスタイルは変わることもあるため、将来を見据えて実用性と趣味のバランスを考えましょう。趣味が変わりやすい場合は、リビングや寝室の一角やロフトなど、部分的なスペースで趣味部屋を設けることも一つの手です。



  • 施工事例紹介|KULABOが手掛けた”趣味部屋のある暮らし”

    最後に、趣味部屋をつくったKULABOの事例を紹介します。ぜひ参考にしてみてください。

    01.書斎と兼用する、こもり感のある趣味スペース


    リノベーション事例

    優しい光に包まれる素材感のある家

    愛知県名古屋市緑区

    築年数:20年

    間取り:(before)4LDK→(after)2LDK+書斎+WIC

    リノベーション費用:約1,420万円(2023年施工)

    レイアウト:個室


    断熱や遮音など居住環境の向上を希望され、床を新しく組み直し、インプラスも施工しました。マンションでトラブルになりやすい足音や楽器演奏の音を軽減しています。窓のない部屋にはエアパスファンを設置し、LDKの空調を活用しています。






    02.壁一面に飾る、自慢のギターコレクション部屋


    リノベーション事例リノベーション事例


    インダストリアルなベースハウス

    愛知県瀬戸市

    築年数:25年

    間取り:(before)3LDK→(after)2LDK

    リノベーション費用:約1,450万円(2022年施工)

    レイアウト:土間と隣接


    自慢のギターコレクションは、壁に飾るようにディスプレイできるようにしました。リビングと趣味室は間仕切り壁を設けるのではなく、ガラスの造作建具でひと続きの空間となるように計画しています。






    03.お気に入りのキャンプ用品をディスプレイ収納で楽しむ部屋


    リノベーション事例

    趣味を楽しむ空間と暮らしやすさの両立

    愛知県名古屋市南区

    築年数:13年

    間取り:(before)4DK→(after)3SSLDK

    レイアウト:個室


    服や趣味のアウトドア用品を収納するスペースを広く確保し、武骨でアウトドアなテイストを散りばめたお住まいです。お気に入りのキャンプ用品をカッコよくディスプレイしながら収納できます。






    04.本に囲まれるLDK横のライブラリースペース


    リノベーション事例

    広い空間を活かしたライブラリースペースがある家

    愛知県瀬戸市

    間取り:(before)5SLDK→(after)4SLDK

    リノベーション費用:約1,750万円(2021年施工)

    レイアウト:LDKに隣接


    LDK横にライブラリースペースを設けることで、家族みんなが行き来しやすく便利です。本だけでなく飾り棚としても使えるデザインが、空間のアクセントになっています。






    05.小上がり奥に確保した、奥様のための裁縫スペース


    リノベーション事例

    小上がりのある趣味を満喫する暮らし

    愛知県蒲郡市

    築年数:18年

    間取り:(before)3LDK→(after)1LDK+WIC+小上がり畳

    リノベーション費用:約550万円(2021年施工)

    レイアウト:LDKの一角


    LDKの一角に設けた小上がり。その奥のワークカウンターは、奥様の趣味である裁縫スペースとして活用されており、家事の合間でも気軽に趣味を楽しめます。



  • まとめ

    今回は、理想の趣味部屋づくりのポイントや注意点、おすすめのレイアウトについてご紹介しました。

    まずは、自分の趣味や部屋の使い方を明確にすることが大切です。その上で、「見せる収納」と「隠す収納」のバランスを考え、使いやすく整った空間をつくりましょう。また、照明や防音などの環境づくりにも配慮し、快適に趣味に集中できる空間にすることが重要です。趣味部屋は必ずしも個室である必要はなく、リビングの一角やデッドスペースを活用して作ることも可能です。さらに、趣味やライフスタイルの変化にも対応できるよう、使い方やレイアウトを変えやすいように工夫しておくことがポイントです。

    KULABOはライフスタイルに合わせた提案を得意としております。
    「こんな趣味部屋があったらいいな」「空いている空間を活かして趣味部屋をつくりたい」
    そんな方は、ぜひお気軽にご相談ください。理想の暮らしに合ったご提案をさせていただきます。

このコラムの執筆者

KULABOのスタッフ

堤 愛莉

Contentsコンテンツ