マンションでロフトをつくるには?条件・費用・失敗しない設計ポイントを徹底ガイド
2025年11月14日
2025年11月25日
マンションの天井高を活かして空間を有効活用できるロフトは、「自分だけの秘密基地」や「大容量の収納スペース」として、リノベーションでも非常に人気の高いアイデアです。
しかし、ロフト増設には一戸建てにはない構造的な制限や管理規約といった独自のハードルがあります。「憧れだけで作ったものの、結局使わなくなった」「天井高が足りず、断念せざるを得なかった」という失敗談も少なくありません。
今回はマンションでロフトを実現するための基本条件、費用相場、そして設計時に失敗しないためのポイントをKULABOが手がけた事例と共に徹底的に解説します。ぜひ最後までご覧ください!
CONTENTS
-
マンションでロフトはつくれる?基本条件と注意点
結論!条件を満たせば、マンションでもロフトは実現可能!
マンションでも、条件をクリアすればロフトを増設し、魅力的な空間をつくることは十分に可能です。しかし、一戸建てと違い、「構造的な条件」と「管理規約」のクリアが条件となります。以下にマンションでロフトをつくる際の基本条件と注意点をまとめました。
*構造的な条件
ロフト増設で最も重要なのは、建築基準法のルールを守ることです。中でも下記法令をクリアする必要があるのでチェックしておきましょう。
■天井高の制限
ロフトは「居室」ではないため、高さは1.4m以下と決められています。さらに、ロフトの下の空間(居室)も2.1m以上の高さを確保しなければなりません。
■面積の制限
ロフトの床面積は、設置する部屋の床面積の1/2未満でなければ違法となる可能性があります。
*管理規約・集合住宅特有の制約
マンションでは、個人の工事でも管理組合の許可が必須です。工事前に必ず管理規約を確認し、管理組合の承認を得ましょう。特に天井や床への工事は共用部分に影響を及ぼす可能性があるため、規約を遵守することが重要です。
*ロフトの使い方を決めてから設計を考える
ロフトを有効活用するためには、目的と使いやすさを考えて設計しましょう。「収納」「書斎」など何に使うかを決め、必要な設備を計画します。昇降は安全性を考慮した、はしごや可動階段が基本です。また、ロフトは熱がこもりやすいため、快適に使うためには断熱や換気などの暑さ対策を必ず設計に組み込むことが大切です。
-
ロフトを設けるメリット・デメリット
ロフトは空間を有効活用できる魅力的な選択肢ですが、設置する前にメリットとデメリットの両方を理解しておくことが大切です。
メリット
◎限られた空間を立体的に有効活用できる
床面積を増やさずに、収納や新たな居住スペースを立体的に「増やす」ことができます。特にマンションの収納不足解消に有効です。
◎空間に変化が出て、リビングが広く感じられる
天井までの高さが強調され、視覚的に縦の広がりと開放感が生まれます。リビングに設置することで吹き抜けのような効果が得られます。
◎ワークスペース・収納・趣味部屋など多目的に使える
個室増設より費用を抑え、書斎や趣味の部屋など、家族の気配を感じつつ集中できる「自分だけの場所」を確保できます。
デメリット
△天井が低く圧迫感が出やすい
法的な制限(高さ1.4m以下)により、ロフト上では中腰になることが多く、圧迫感を感じやすいです。高さのある物の収納も困難です。
△階段やはしごが動線を妨げることもある
昇降用のはしごや階段は、設置場所や出し入れの仕方によって、居室内の生活動線の邪魔にならないよう配慮が必要です。
△夏場に熱がこもりやすい
暖かい空気が上に昇るため、夏場は非常に暑くなります。冷房も効きづらくなるため、快適な空間にするには、設計段階で断熱材の強化や換気設備の設置、空調計画などの対策をしっかり行う必要があります。
△将来使わなくなりやすい
昇降の手間や、暑さ・寒さといった快適性の問題から、数年後には「単なる物置」になるケースがあります。ロフトを計画する際は、将来のライフスタイルや家族構成の変化を考慮し、利用頻度や目的を明確にしておくことが大切です。 -
ロフト新設にかかる費用と工事内容
マンションにロフトを新設する場合、一般的な費用相場は50万円〜100万円程度が目安となります。ただし、ロフトの広さや内装の仕様、必要な設備によって費用は大きく変動します。ロフト設置計画の際は、必ずリノベーション会社に詳細な見積もりを取るようにしましょう。
費用がアップする主な追加工事!
ロフトを単なる物置ではなく、居室に近い形で快適に利用したい場合、以下の追加工事が必要となり、費用がアップするケースが一般的です。
■電気設備工事
照明器具の設置、コンセントやスイッチの増設に必要な工事費用です。ワークスペースとして利用する場合は必須となります。
■断熱・換気対策工事
ロフトは熱がこもりやすいため、快適性を高めるための工事です。主に、断熱材の追加・窓の取り付けや換気扇の設置があります。
■内装のグレードアップ
クロスや床材を高機能なものにしたり、デザイン性の高い室内窓を設置したりする場合に費用がかかります。 -
用途・間取り設計で失敗しないためのポイント
マンションでのロフト設置は、居住空間を大きく変えるリノベーションです。完成後に後悔しないよう、機能性、安全性、そして快適性を追求した設計を行うためのポイントを4つご紹介します。
*用途を明確にする
ロフトを「あったら便利そう」という曖昧な理由で設けると、結局使われずに物置になってしまう失敗例が少なくありません。用途によって必要な広さや、照明、コンセントの数、換気設備などが変わってくるので、ロフトを作る目的を、収納、ワークスペース、キッズスペースなど、具体的に最初にはっきりと決めましょう。用途があやふやなまま設計を進めると、使いにくいレイアウトとなり、「せっかく費用をかけたのに、、、」と後悔する原因になりかねるため要注意です。
*動線・視線・安全性を意識する
ロフトは高い場所にあるため、安全性と昇り降りのしやすさを最優先に考えましょう。
特に小さな子どもがいる場合は、転落防止のための手すりの設置や、はしごの角度を慎重に決める必要があります。また、ロフトに設置するはしごや階段が、ロフト下の生活動線の邪魔にならないよう、設置場所を工夫することも大切です。
*将来の使い方も想定する
ロフトは一度作ると簡単に変更できないため、家族構成やライフスタイルの変化を想定して設計することが重要です。
例えば、子どもが小さいうちはプレイスペースとして使っていても、成長後は収納や書斎として使えるよう、電源や照明の位置、床の耐久性などをあらかじめ備えておくと安心です。多用途に対応できるような柔軟な設計にすることで、長く活用できる価値の高い空間となります。
*圧迫感を減らす照明・素材選びをする
ロフトは天井高が1.4m以下と低いため、圧迫感が出やすい傾向があります。
これを軽減するために、照明計画と素材選びが重要です。ロフトの天井や壁を明るい色の素材で統一すると、視覚的に広く感じさせることができます。照明は、低い位置に視線が向かないよう、ダウンライトや間接照明を採用して、空間をすっきりと見せるのが効果的です。 -
ロフトの活用事例と設計アイデア
ロフトは、その特殊な形状と高さを活かすことで、さまざまな用途に活用できます。ここでは、特に人気の高い活用事例と、設計のアイデアをご紹介します。
✓収納スペースとして活かす

最も一般的で実用的な活用法が、大容量の収納スペースとしての利用です。普段使わない季節の衣類、アウトドア用品、思い出の品などをまとめて保管できます。設計時には、整理しやすいよう棚や引き出しを造作するのがおすすめです。
✓ワークスペースや趣味部屋として使用する

ロフトを趣味部屋やワークスペースにする事例は、家族の気配を感じつつも集中できるプライベート空間が出来上がるので近年増えています。長時間利用する場合は、パソコンが使えるよう照明やコンセントをしっかり用意したり、暑くならないように換気やエアコンの計画を立てておくことが特に大切です。
✓子ども部屋やプレイスペースにする


天井が低くこぢんまりとした空間は、子どもにとって秘密基地のような特別感があり、遊び場や簡易的な寝室として人気です。ロフトを子供部屋にする際は、転落防止用の手すりや安全性の高いはしごなど、安全面への最大限の配慮が必要です。
-
実例紹介|KULABOのマンションロフトリノベーション


マンション最上階を活かしたリノベ
愛知県みよし市
築年数:26年
間取り:(before)3LDK→(after)2LDK
リノベーション費用:約1,110万円(2017年施工)
「マンション最上階」を活かした事例。収納や来客時のお泊りスペースとしても活用できる多機能なロフトが魅了の部屋が誕生しました。ロフトへの階段の手すりにはロープが採用され、オリジナリティが出ています。


R天井が織り成す家族憩い空間
愛知県岩倉市
築年数:32年
間取り:(before)3LDK→(after)3LDK
リビングの一角に設けたロフトの事例。空気が溜まりやすいため、室内窓を採用し、空気の入れ替えと共に人の気配を感じられるように工夫されています。またデッドスペースを無くすためにロフト下に大きな収納スペースを設け、無駄のない空間に仕上げています。


ロフトのあるマンションへリノベーション
愛知県名古屋市天白区
築年数:27年
間取り:(before)3LDK+S→(after)3LDK+WIC+ロフト
リノベーション費用:650万円(2016年施工)
既存のマンションが持つ高い天井高というメリットを最大限に活かし、LDKにロフトを新設した事例。シーリングファンやダウンライトを設置することで、ロフト周りも含めた空間全体の空気循環と明るさにも配慮した、機能的で遊び心のある仕上がりになっています。
-
まとめ
マンションでロフトを成功させるためには、構造的な条件と管理規約をクリアすることが大前提となります。
ロフトは空間活用に優れていますが、快適に使い続けるためには、利用目的の明確化、動線・安全性の確保、そして夏場の熱対策を設計段階で徹底することが不可欠です。
KULABOでは、リノベーションをご検討中のマンションの構造や管理規約などを正確に把握した上で、その制約を踏まえつつ、空間を最大限に生かすロフトリノベーションをご提案しています。
「ロフト増設について詳しく知りたい」「失敗しない設計のプロに相談したい」という方は、ぜひお気軽にご相談ください♪
このコラムの執筆者
牧野 有紗










