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2025年12月02日
2025年12月04日
対面キッチンの代表例として人気の「ペニンシュラキッチン」。
開放感があり、家族とのコミュニケーションが取りやすいことから、リノベーションでも採用されることが増えています。
しかし、「使い勝手が想像と違った…」「もっと検討すればよかった」と後悔する声も少なくありません。
本コラムでは、ペニンシュラキッチンの特徴・メリットデメリットから、後悔しやすいポイント、失敗しないための工夫を、実際のリノベ事例とともに分かりやすく解説します。これからリノベーションを検討されている方は、ぜひ参考にしてください。
CONTENTS
「ペニンシュラ(Peninsula)」とは英語で「半島」を意味し、片側だけが壁に接し、もう片側がリビング側に開いた半独立型キッチンのことを指します。見た目はアイランドキッチンと少し似ていますが、完全独立型ではない点が大きな違いです。
大きな回遊スペースを必要とせず、比較的コンパクトな間取りでも取り入れやすいのが特徴です。また、I字型・L字型・U字型など間取りや使い方に合わせてバリエーションが選べる点も魅力と言えます。
さらに、リビング側がオープンになっていることで、開放感を感じながら作業でき、家族や来客とのコミュニケーションもしやすい点が人気の理由のひとつです。
そんな方にフィットしやすいキッチンです。
ペニンシュラキッチンは、デザイン性だけでなく“使いやすさ”の点でも多くのメリットがあります。
ここからは、ペニンシュラキッチンが選ばれる主なメリットを具体的に紹介します。
キッチンがリビング・ダイニングに向かって開くため、空間を広く感じられます。壁の仕切りが少ないため、LDK全体をひとつのインテリアとして演出することも可能です。
壁に面したキッチンだと集中しやすい反面、孤独感を感じることもあります。
ペニンシュラキッチンなら、調理中も家族の様子を見守れ、会話も楽しめるので安心です。小さなお子様がいる家庭では、常に目が届くことで安全面でもメリットがあります。
ペニンシュラキッチンは、I型・Ⅱ型などのデザインから選ぶことで、コンロ・シンク・作業台の配置を効率化できます。無駄な移動が減り、作業時間を短縮できるのも大きな魅力です。
キッチンの反対側にカウンターを設ければ、お子様の勉強スペースやちょっとした食事スペース、簡易ワークスペースとして活用することが可能。カウンター下に収納を設置すれば、食器や調理器具の収納量も確保できます。
ペニンシュラキッチンには多くの魅力がありますが、実際に使い始めてから「思っていたのと違った」と感じるケースも少なくありません。
とくに動線・収納・掃除のしやすさ は、事前の計画次第で使い勝手が大きく変わる重要なポイントです。
ここでは、ペニンシュラキッチンで後悔につながりやすい代表的な5つのポイントと、その原因を分かりやすく解説します。
複数人で調理する場合や家族が行き来することを想定すると、最低90cm以上の通路幅が必要です。通路幅が狭いと、すれ違いにくく作業しづらいだけでなく、日常のストレスにもつながります。
開放感を重視するため吊戸棚を設置しないケースが多く、結果として収納スペースが不足しやすいです。背面収納やカウンター下収納を確保できていないと、調理器具や食器が収まりきらず、キッチンの乱れにつながることがあります。
ペニンシュラキッチンは、前面に壁がない、もしくはコンロ周りにしか壁がないため、調理中の油はねや水はねが床や壁に飛びやすいのがデメリットです。壁に囲まれていない分、広範囲に飛散することもあり、掃除の負担になるケースがあります。
さらに、においや煙を遮るものがないため、調理中のにおいが部屋全体に広がりやすく、換気能力が不足していると生活臭が残りやすい原因にもなります。
ペニンシュラキッチンは、アイランドキッチンのように両側がオープンではないため、回遊性がやや劣り、冷蔵庫・シンク・コンロの配置次第では作業動線が長くなることがあります。特に複数人で調理する場合や、頻繁に出し入れする設備との距離がある場合は、作業効率に影響が出る場合があります。
LDKからキッチン全体が見えるため、常に片付いた状態を保つ必要があります。生活感が出やすいレイアウトのため、共働きで時間に余裕がない方や整理整頓が苦手な方にとっては、片付けの頻度が増え、負担が大きく感じられるケースがあります。
ペニンシュラキッチンでの後悔を防ぐには、事前の工夫が欠かせません。
ここでは、収納・掃除・動線の観点から、快適で使いやすいキッチンにするための3つのチェックポイントを紹介します。
背面に大容量のカップボードを設置することで、食器や調理器具の収納を確保できます。キッチン前面にも収納棚を設置すれば、使用頻度の低い物もまとめてしまえるため、見た目もすっきりします。
コンロ前にガラスパネルを設置したり、腰壁で手元を隠す、油はねしにくいIHを採用などの工夫で、掃除や片付けの手間を大幅に軽減できます。
「冷蔵庫 → シンク → 調理台 → コンロ」の動線を意識して配置することが大切です。複数人で作業する場合は、最低90cm、できれば100〜120cmの通路幅を確保することで、ストレスなく作業できます。
ペニンシュラキッチンは、デザイン性と使いやすさを両立できるレイアウトですが、具体的な活用イメージがあるとより参考になります。ここでは、KULABOのリノベーション事例から、実際にペニンシュラキッチンを採用した空間デザインや使い勝手の工夫を紹介します。
動線や収納、インテリアとの調和など、リアルな施工例から理想のキッチンづくりのヒントを見つけてみてください。

愛知県名古屋市天白区
築年数:22年
間取り:(before)4LDK→(after)2LDK
リノベーション費用:約2,100万円(2023年施工)
キッチンの広さと使いやすさを重視するため、アイランド風のペニンシュラ型キッチンを配置。敢えてリビングとキッチンで床材を貼り分けず、ダークカラーのキッチンが美しい木目によってより映えるデザインとしました。

愛知県名古屋市
間取り:(before)3LDK→(after)3LDK+WIC
リノベーション費用:約1,640万円(2022年施工)
LDKの中心に配置したフロートタイプのホワイトキッチンが、空間全体にスタイリッシュな印象を与え、より広がりを感じさせます。
カウンターを設けず足元を浮かせたデザインにすることで、視界が抜け、圧迫感のないすっきりとしたキッチンに仕上がっています。

愛知県名古屋市昭和区
築年数:22年
間取り:(before)4LDK+ロフト→(after)3LDK
リノベーション費用:約1,140万円(2023年施工)
ホワイトのペニンシュラ型キッチンを採用し、お菓子作りが好きな奥様のために広々作業スペースを確保。ご主人様がワインを飲む時にちょっとしたカウンターとしても利用できます。

愛知県春日井市
築年数:12年
間取り:(before)4LDK→(after)3LDK+WIC
リノベーション費用:約950万円(2023年施工)
キッチンの腰壁とTV面にルーバーを施工し、空間全体に統一感を演出しました。
LIXILのペニンシュラキッチンに前面収納の扉をルーバーに交換することで、理想のデザインを実現しつつコストも抑えています。

愛知県名古屋市西区
築年数:39年
間取り:(before)3LDK→(after)3LDK+WIC
リノベーション費用:約1,600万円(2024年施工)
KULABOのセミオーダーキッチンをペニンシュラ型で提案し、LDKの主役となるようデザインしました。ステンレスの天板とオークの木目が美しく調和しています。
今回のコラムを読んでいただき、理想のキッチンのイメージは深まりましたでしょうか。
ペニンシュラキッチンは、収納や掃除の手間を気にして敬遠されがちですが、レイアウトや工夫次第で、デザイン性と使いやすさを両立した心地よい空間に仕上げることができます。
また、アイランドキッチンよりも設置条件の自由度が高く、比較的コストも抑えられるため、対面キッチンを検討されているご家庭にはおすすめです。
KULABOでは、システムキッチンはもちろん、造作キッチンのご提案にも対応しています。ライフスタイルや空間に合った“理想のキッチンづくり”をサポートいたしますので、ぜひお気軽にご相談ください。

寺石 圭汰