キッチン腰壁のおしゃれな設置方法|高さ・幅・デザインの工夫を解説

2025年12月15日

近年、LDK一体型の間取りが主流となる中で、キッチン腰壁は単なる仕切り以上の役割を持つようになりました。オープンキッチンの開放感を損なわずに生活感を隠せるため、今ではLDK全体のデザイン性を左右する重要な要素となっています。

しかし、「ちょうどいい高さは?」「どうすればおしゃれに見える?」といった悩みを抱える方も多いのではないでしょうか。

今回のコラムでは、腰壁の最適な寸法やデザインを格上げするポイント、KULABOが手掛けた腰壁の施工アイデアをご紹介します。

是非最後までご覧ください。

  • キッチン腰壁とは?

    キッチン腰壁とは、床から人の腰くらいの高さを目安に作られた造作壁のことをいいます。

    主にキッチン本体とダイニングを仕切る目的で対面キッチンに設置されることが多く、工夫次第で機能性やデザイン性を高めることができます。

    また、壁付けキッチンの場合でも、腰壁を設けることで対面キッチンのような使い勝手や見え方を取り入れることが可能です。

  • キッチン腰壁のメリット

    キッチン腰壁は、仕切りとしてだけではなく、空間にアクセントを加え使い勝手や機能性を高める重要な役割も果たします。
    ここでは、腰壁を設けることで得られる具体的なメリットを解説します。

    手元や作業スペースを隠せる

    キッチン腰壁の最大の役割は、リビングやダイニングからの視線を遮ることです。調理器具、食材、食器など、料理中にごちゃつきがちな手元や作業スペースを隠せるため、生活感を抑えてすっきりとした印象を保つことができます。



    油はねや水はねを防止できる

    調理中の油はねや、洗い物による水はねが気になりやすい対面キッチンですが、腰壁を設けることで飛び散りを物理的に防ぎ、掃除の負担を軽減できます。また、腰壁自体に防水性のある素材を選ぶと、日々のお手入れも楽になります。



    収納スペースやカウンターをつくれる

    腰壁の厚みを利用してニッチ収納を設けたり、天面に幅を持たせてカウンターを作ったりと、実用的なスペースを確保することができます。ニッチは調味料やレシピ本の収納場所として、カウンターは完成した料理や食器を一時的に置く場所として活用することで、家事の作業効率も上がります。



    デザインのアクセントになる

    タイル、木目、石目調などの素材や色、デザインを工夫することで空間全体にアクセントを加えることができます。これにより、単調になりがちなキッチン空間にアクセントが生まれ、インテリアの主役として引き立てることが可能です。

  • キッチン腰壁のデメリット

    多くの魅力がある腰壁ですが、設計によっては後悔につながる注意点も存在します。
    ここからは、腰壁を取り入れる際に知っておきたい主なデメリットについて解説していきます。

    圧迫感や狭さを感じることがある

    腰壁を設けると、壁がないオープンな状態に比べて視線が遮られ、空間全体に圧迫感を感じることがあります。特にLDKの面積が限られている場合や、腰壁が高い・色が濃いなどの場合は、部屋が狭く感じられる原因となりやすいです。開放感を重視したい場合は、腰壁の高さや素材選びに注意が必要です。



    腰壁の上が散らかりやすくなる

    腰壁のカウンター部分は、調理中や食事中に一時的な「物置き場」として使われやすく、食器や調味料などをつい置いたままにしてしまいがちです。その結果、リビング側から見ると雑然とした印象になりやすく、見た目の美しさが損なわれることがあります。目隠しできる腰壁がかえって散らかりの原因とならないよう、カウンター部分の整理整頓を意識的に行いましょう。



    掃除やメンテナンスの手間が増える場合がある

    腰壁の素材によっては、油や水、調味料などが飛び散った際に、拭き取りにくいことがあります。特にタイルなど凹凸のある素材を選んだ場合、目地部分に汚れが入り込み掃除に手間がかかってしまいます。また、キッチン側とリビング側の両面の掃除が必要になるため、オープンなカウンターに比べてメンテナンスの箇所が増える点にも考慮して腰壁を取り入れるかを検討しましょう。



    会話がしづらいことがある

    腰壁を高く設定すると、キッチンに立つ人の顔に近い高さまで壁で仕切られるため、リビングやダイニングにいる家族とのコミュニケーションが取りづらくなることがあります。特に小さな子どもがいる家庭では、子どもの様子が見えにくくなったり、大声で話さないと会話が成立しにくかったりするため、腰壁をどれくらいの高さにするのかは慎重に決めることが大切です。

  • キッチン腰壁をつくるときのポイント

    腰壁の魅力を最大限に引き出し、理想のキッチンを実現するためには、デザイン性だけでなく日々の使い勝手やメンテナンス性、そして将来的な利便性を考慮した工夫が必要です。
    ここでは、キッチン腰壁をつくるときの具体的なポイントをご紹介します。

    適切な高さや幅で設定する


    腰壁を設置する際は、目隠し効果と開放感のバランスが重要です。適切な高さは、キッチンに立つ人の身長や、隠したいものの種類によって変わり、適切な幅は、カウンターとして利用するかどうかによって必要なサイズが変わります。詳しい寸法については次の章で解説していきます。



    お手入れのしやすい素材を選ぶ


    キッチン腰壁は油や水、調味料などが飛び散りやすいため、お手入れのしやすさを優先的に考えましょう。以下はお手入れがしやすい主な素材です。



    タイル

    防水性があり、楽にお手入れができる。デザインのバリエーションが豊富なためおしゃれな空間を演出しやすい。

    キッチンパネル・樹脂パネル

    油汚れを拭き取りやすく、アルコール消毒も可能。また、湿気や温度変化による反りや割れが起きにくい

    ビニールクロス

    水拭きや中性洗剤で汚れが落としやすい。デザインや柄が豊富で、手軽に雰囲気を変えることができる。



    インテリアとの調和を意識する


    腰壁はリビング・ダイニングからよく見える部分であるため、LDK全体のインテリアとの調和を意識することが非常に大切です。床材や建具、家具の色や素材とテイストを合わせることで、統一感のある空間になります。アクセントとして対照的な色や素材を選ぶ場合も、LDKの主役として引き立つようバランスを意識しましょう。



    収納やカウンターの有無を検討する


    リビング側に、調味料やレシピ本などを置くためのニッチ収納を設けたり、腰壁の上にカウンターを設けて配膳スペースとして活用したりする方法も検討しましょう。単なる仕切りとしてだけでなく、機能性を持たせることも重要なポイントのひとつです。



    コンセントの設置を検討する


    腰壁のカウンター部分を検討する場合、コンセントを設置しておくと非常に便利です。ホットプレートやミキサーなどの調理家電を使う際や、ダイニング側でPCやスマートフォンの充電をする際にも役立ちます。キッチン家電の配置や、ダイニングでの利用シーンを想定し、必要な数と位置を計画的に決めましょう。

  • キッチン腰壁の適切な高さや幅は?

    キッチン腰壁の寸法は、”目隠し効果” ”開放感” ”使い勝手”のすべてを決める重要な要素であり、何を優先するかによって適切な寸法は異なります。以下にまとめた「高さ」「幅」の適切な寸法を参考にして、最適な腰壁を計画しましょう。

    〈高さ〉

    90cm~100cm

    カウンターをつくる場合におすすめの高さです。お家にいながらバーのような雰囲気も楽しめます。

    100cm程度

    手元をある程度隠しつつ、圧迫感が出ないちょうどいい高さです。リビング側を全面収納として使用する場合も十分な収納量を確保できます。

    120cm程度

    調味料ニッチをつくる場合におすすめです。調理をしながらすぐ手の届く場所に収納ができます。



    〈幅〉

    10cm〜15cm

    構造上必要な最低限の幅です。リビング側の空間を広く確保できるため、目隠しの機能だけほしいという方におすすめです。

    20cm〜30cm

    食器や調味料、完成した料理などの一時置き場として便利な幅です。

    30cm〜40cm以上

    リビング側に椅子を置いて食事や作業ができる幅です。実用的かつ、バーカウンターのようにおしゃれな雰囲気も演出できます。

  • キッチン腰壁におすすめの5つのデザイン

    ■クロス

    メーカー:シンコール
    型番:BB1259

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    クロスは色や柄のバリエーションが豊富で、他の素材に比べてコストを抑えることができます。中でも事例のようなくすみカラーは、他の色味との相性抜群で飽きがこないため大人気です。




    ■古材

    メーカー:古材日和
    型番:USボード ブラウン

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    古材は木の温かみをそのまま感じられます。新品の木にはないアンティーク感を味わうことができ、耐久性や調湿性にも優れています。




    ■モールテックス

    メーカー:モールテックス
    型番:BM68 PINCTADA LIGHT

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    モールテックスはコンクリートの5倍の耐久性に加えて防水性にも優れています。あまり知られていませんが、ピンクやブルーなどのカラーもあり、カラーバリエーションが豊富です。




    ■タイル

    メーカー:名古屋モザイク
    型番:MRR-Z1260

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    タイルは耐熱性や耐火性に優れており、火を使うキッチン周りでも安心して使用できます。事例のタイルは6角形になっている大理石風のデザインが珍しく高級感もあります。




    ■SOLIDO

    メーカー:KMEW SOLIDO
    型番:typeM-FLAT SMN65G(灰)

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    SOLIDはセメントを主とした壁材で、着色塗装をせず素材そのものの表情を感じられます。一枚として同じものがない唯一無二の風合いで、コンクリート打ちっぱなしのようなスタイリッシュさが特徴です。

  • KULABOが手掛けた腰壁の施工アイデア7選

    ①腰壁+レンガ貼

     
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    アンティークな空間の中で無機質を現す

    愛知県瀬戸市

    築年数:42年

    間取り:4DK→1LDK+WIC

    リノベーション費用:約1,430万円(2024年施工)


    無機質なコンクリート現しの空間の中で、レンガの風合いがアクセントになっている腰壁です。
    ひとつひとつ個体差のあるテクスチャーが愛らしく、アンティークな装いをプラスしてくれます。





    ②腰壁+造作家具

     
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    キッチンから広がる新たな暮らし

    愛知県名古屋市昭和区

    築年数:38年

    間取り:4LDK→3LDK

    リノベーション費用:約1,630万円(2024年施工)


    造作家具を腰壁として、オリジナルのカウンターを設置したデザイン性と収納量を両取りした計画です。
    キッチン天板と造作家具の素材を揃えることで、まるでペニンシュラキッチンのような見た目になります。





    ③腰壁+モールディング

     
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    45°がつくるリビングのカタチ

    愛知県

    築年数:18年

    間取り:4LDK(1Fのみ)→2LDK+WIC(1Fのみ)

    リノベーション費用:約1,470万円(2024年施工)


    モールディングを施工して塗装で仕上げたキッチン腰壁は、塗装の色やモールディングの形によって様々な雰囲気を作ることができます。
    事例の腰壁は、可愛らしいパステルカラーを取り入れることで、海外風なキッチンに仕上がっています。





    ④腰壁+ニッチ

     
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    世代をこえて、健やかにすまう

    愛知県稲沢市

    築年数:31年

    間取り:2LDK+S→2LDK+S

    リノベーション費用:約1,140万円(2024年施工)


    腰壁に扉付きのニッチ収納を計画することで、生活感を隠し見た目をスッキリさせつつ収納量を確保することができます。
    よりミニマムな印象にしたいなら取手レスの扉に、見せる収納にしたいなら扉を付けずオープンな収納にするなど、しまいたいものや飾りたいものに合わせて計画しましょう。





    ⑤腰壁+カウンター+タイル+照明

     
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    日常に彩りを~バーカウンターのあるもてなしの住まい~

    愛知県名古屋市西区

    築年数:19年

    間取り:4LDK→2LDK+WIC

    リノベーション費用:約1,800万円(2023年施工)


    腰壁を高めに設定してカウンターとして計画した事例です。
    カウンターの下はタイルと間接照明でお店のような雰囲気を作り、キッチン全体のデザインがバースタイルな印象になっています。





    ⑥腰壁+モルタル左官

     
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    緑おちつく心地の良い空間-有機×無機の調和-

    愛知県名古屋市熱田区

    築年数:20年

    間取り:4LDK→2LDK+SIC

    リノベーション費用:約1,300万円(2023年施工)


    左官仕上げのキッチン腰壁は、モルタルの質感と躯体現しがクールな印象を与えつつ、木のぬくもりがマッチしています。
    全体的に落ち着いた印象にまとまり、手元が見えない高さにすれば生活感もなくなりやすいです。





    ⑦腰壁+タイル+カウンター

     
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    懐かしさ感じるインダストリアルな寛ぎ空間

    愛知県瀬戸市

    築年数:25年

    間取り:4LDK→2LDK+WIC

    リノベーション費用:約810万円(2020年施工)


    タイルと木製カウンターの組み合わせがかっこいい腰壁です。
    正方形のブルーのタイルが目に留まり、インダストリアルな空間でもしっかりと存在感を出すことができます。



  • まとめ

    キッチン腰壁はただの「仕切り」ではなく、寸法やデザインを工夫することで、生活感を隠しつつLDK全体の雰囲気を底上げすることができます。

    そして、最適な寸法や素材は、ご家族の身長やライフスタイル、間取りによって異なります。

    KULABOでは、お客様の理想とする暮らしやデザインイメージを丁寧にヒアリングし、最適なご提案をさせていただきます。
    機能性とデザイン性を両立させた、後悔のないキッチン腰壁を実現したい方は、ぜひお気軽にご相談ください。

このコラムの執筆者

KULABOのスタッフ

森居 寛幸

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