足元の寒さにお悩みのあなたへ!マンションでもできる寒さ対策「床の断熱リノベ」
2024年01月13日
2024年11月12日
特に冬場、「足元が寒い!」「床が冷たい!」という経験をしたことはないでしょうか。
床は人の肌に直接触れる部分です。築年数が古いマンションは断熱性能を十分に満たしていない場合もあり尚更冷気を感じやすく、マンションの部屋の位置によっても寒さの感じ方は異なります。
そんな時、床下に断熱材を施工することで足元が温かくなる効果があります。床材の種類にもよりますが、断熱材がしっかりと施工された床は表面温度が上がるため、床暖房が不要なほどの温もりがあります。
そこで今回は、マンションの床の断熱リノベーションで得られる効果やよく使用される断熱材の特徴、注意点についてご紹介します。
CONTENTS
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マンションの床断熱を行うことで得られる効果
マンションは、RC造(鉄筋コンクリート)やSRC造(鉄骨鉄筋コンクリート)といった鉄筋や鉄骨、コンクリートを使用してつくられることがほとんどです。戸建てに比べれば隙間が少なく気密性が高いマンションですが、コンクリートは熱伝導率が高いので外気の影響を受けやすく、建物や部屋の場所によっては寒さを感じることがあります。
特に、マンションの1階は地面からの冷気が伝わる上に上層階に比べれば日光も当たりにくいので、一段と寒さを感じやすいでしょう。
そんな床からくる寒さ対策の1つとして有効なのが、床の断熱リノベーションです。床の断熱をすることは、下記のような効果を得られます。
床断熱で得られる効果・冷暖房の効きが早くなる
断熱性能が低いマンションの場合、冷暖房の効きが悪くなかなか冷えない・暖まらないことがあります。床断熱を行うことで気密性が高まり、冷暖房の効率がアップします。冷暖房の効率が良くなることは、電気代の削減にも繋がるのでまさに一石二鳥です。
・床からの底冷えを防ぐ
冬になると床からの冷気で底冷えして、靴下を履いていても寒いなんてことも。底冷えは風邪などの体調不良の原因にもなり得ます。床の断熱性能を高めることで、底冷えが解消されます。
・床の表面温度が上がり、体感温度も上がる
実は、室温と体感温度はイコールではありません。室温が高くても床の表面温度が低ければ熱が奪われてしまい、体感温度も下がって寒く感じてしまいます。断熱性能を高めることで床の表面温度は上がり、室温と同程度の暖かさを感じられます。
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マンションの床断熱の施工方法とは?
床の断熱方法で代表的なのは、住宅の床下に断熱材を施す「床下断熱工法」と、建物の基礎部分から断熱する「基礎断熱工法」の2種類です。しかし、マンションでは建物の基礎部分には断熱を施せないので、マンションの床断熱を行う場合は「床下断熱工法」となります。
「床下断熱工法」をするために、「二重床」と呼ばれる遮音性能のあるゴムがついた支持脚で床材の下地となるボードを持ち上げて、その上に床材を貼る方法で施工します。その「二重床」でも、スラブと床材の間に空気層ができるため、コンクリートの冷たさが伝わりづらくなりこれだけでも断熱効果はあります。
敷き詰める断熱材は、「繊維系断熱材」や「木質繊維系」、「発砲樹脂製断熱材」など様々な種類がありますが、マンションの床下には発砲樹脂製断熱材の「押出法ポリスチレンフォーム」をよく使用されます。 -
断熱材「押出法ポリスチレンフォーム」を使用するメリット
それでは次に、床断熱でよく使用される断熱材「押出法ポリスチレンフォーム」にはどのような効果や特徴があるのか説明します。
押出法ポリスチレンフォームとは、ポリスチレン樹脂を原料に発泡剤・難燃剤を混ぜ合わせてボード状に押出成形された断熱材です。一般的に、発泡スチロールと呼ばれているものの一種です。
メリット・断熱性能が高い
・水や湿気に強い
・軽量
それでは、メリットについてもう少し詳しく解説していきます。
・断熱性能が高い
押出法ポリスチレンフォームは熱伝導率が低く、薄くても高い断熱性能を発揮します。
・水や湿気に強い
繊維系断熱材の場合、水に濡れたり湿気を含むと断熱性能が低下してしまいます。しかし、押出法ポリスチレンフォームはプラスチック素材のため、他の断熱材と比べると水や湿気に強く、水を吸わないので劣化や腐食をする心配も少ないです。
・軽量で丈夫
押出法ポリスチレンフォームは軽量で丈夫です。ボード状で形が崩れにくいので、外気の侵入による経年劣化もしにくい特徴があります。さらに、柔らかくてどんな形やサイズにも成型できるため、施工もしやすい素材です。
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断熱材「押出法ポリスチレンフォーム」を使用するデメリット
メリットがある一方で、押出法ポリスチレンフォームにはデメリットもあります。
デメリット・火や熱に弱い
・他の素材に比べて高価
それでは、デメリットについてもう少し詳しく解説していきます。
・火や熱に弱い
プラスチック素材である分、難燃剤を混合しているとはいえ熱に弱い性質があるので、熱によって溶けて変形してしまう恐れがあります。
また、火災のような非完全燃焼下では、急性毒性を示すシアン化水素の発生は示されていないですが、燃えやすいという事実に変わりはないので、火気の取り扱いには注意が必要となります。
・他の素材に比べて高価
繊維系断熱材と比較すると、押出法ポリスチレンフォームの方が高価です。しかし、その分防水性や耐久性に優れているなどより高い性能が期待できます。
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マンションの床下断熱を行う時の注意やポイントは?
最後に、マンションで床下断熱を行う際の注意点についてご紹介します。
・天井高が低くなる
先述の通り、マンションで床の断熱をしようとすると「床下断熱工法」で工事を行います。床下断熱工法は既存の床の上に断熱材を敷き、その上に床材を貼るので床の位置が本来よりも10㎝程度高くなります。そのため、自ずと天井高が低くなってしまい、従来よりも圧迫感を感じるかもしれません。事前に十分な高さがあるか、解決策はないのかを確認してから進めましょう。
・高さ次第で、床断熱を行えない可能性がある
マンションは躯体から躯体までの高さが既に決まっているため、リノベーションではその高さを変えることはできません。その高さがある程度確保できていなければ、床断熱の施工ができない場合もあります。
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まとめ
今回は、マンションの床断熱リノベーションについてお話ししました。
床の断熱を行うことで冷暖房の効率も向上し、足元の冷たさを感じづらい快適な住まいをつくることができます。
マンションで床断熱を検討する場合は、まずはマンションの躯体から躯体までの高さを確認する必要があります。その上で、天井・壁・窓とトータルで求める断熱レベルまで引き上げることが大切です。
断熱性能を高めるための対策の1つである「二重窓」についてもコラムで紹介していますので、是非そちらもご確認ください!
もし今お住まいのマンションや購入予定のマンションで床断熱が施工できそうであれば、最近では種類や範囲、費用によって補助金が出る場合もあるので、リノベーションをご検討する場合は、是非一緒に検討して見て下さい。
このコラムの執筆者
村松 杏摘