ツーバイフォー住宅でもリノベーションは可能?知っておきたい基礎知識

2025年09月12日

ツーバイフォー住宅は、その構造上、リノベーションが難しいと思われがちです。
しかし、適切な知識と計画があれば、ツーバイフォー住宅でも理想のリノベーションを実現することが可能です。

今回のコラムでは、ツーバイフォー住宅のメリット・デメリット、リノベーションを成功させるためのポイントや注意点を詳しく説明します。
「うちはツーバイフォー住宅だからリノベーションはできない…」と諦めていた方も、ぜひ参考にしてください。

  • ツーバイフォー住宅の基礎知識

    ■そもそも「ツーバイフォー工法」とは?

    2センチ×4センチの規格角材で枠組をつくり、その枠組に合板パネルをはめ込み、これらを一体化した工法です。別名「木造枠組壁工法」とも呼ばれます。



    一般的な在来工法との違い

    在来工法は、柱・梁・筋交いを用いて軸組みをつくり「点と線」で建物を支えています。一方、ツーバイフォー工法は床・壁・屋根が一体となり、「面」で建物を支えています。



    日本でツーバイフォー工法の住宅が普及している背景

    ツーバイフォー住宅はもともと北米で生まれた工法で、日本では1970年代以降に導入されました。建物の耐震性や耐火性に優れていること、安定した品質を実現しやすいことから、災害の多い日本では徐々に普及が進みました。

  • ツーバイフォー住宅のメリット

    耐震性や耐火性に優れている

    在来工法は柱や梁など「点」で荷重を支えるため、地震などの外力が集中すると倒壊のリスクが高まることがあります。一方、ツーバイフォー住宅は床・壁・屋根が一体となった「6面構造」で建物を支えるため、力を建物全体でバランスよく分散し、耐震性にも優れています。
    さらに、壁の内部が小さな空間ごとに区切られる「ファイヤーストップ構造」になっており、火災が発生した際も燃え広がりにくいのが特徴です。



    ちなみに…

    一般社団法人 日本ツーバイフォー建築協会が行った調査によると、東日本大震災で震度6以上を観測した地域に建つツーバイフォー住宅のうち、「当面補修をしなくとも居住に支障がない」と回答した住宅が全体の95%にのぼったと報告されています。



    気密・断熱性能が高い

    壁同士を面で組み合わせた構造のため、気密性を確保しやすいのが特徴です。気密性が高いほど外気の影響を受けにくくなり、冷暖房効率が向上します。



    工期が比較的短く品質が安定している

    ツーバイフォー住宅で使用する部材は規格化されており、工場であらかじめ製作されます。現場ではそれらを組み立てる作業が中心となるため、工期は3~4ヶ月と比較的短く、職人さんの技量に左右されないため品質も安定しています。

  • ツーバイフォー住宅のデメリット

    間取り変更の自由度が低い

    「壁」で建物を支えるため、構造上取り外せない壁(耐力壁)があります。耐力壁を撤去してしまうと、建物全体の強度や耐震性が下がってしまう可能性があります。



    開口部の設置に制限がある

    耐力壁に開口部を設ける場合は、幅4m以下に制限されます。そのため、自由に大きな窓を増やしたりドアを設置することは難しい場合があります。



    湿気や通気管理に注意が必要

    気密性が高いため、湿度がこもりやすく、カビや結露が発生しやすいと言われています。
    しかし、現在は建築基準法により24時間換気システムの設置が義務付けられたため、適切に管理されていれば問題は少なくなっています。リノベーションの際には、換気計画をしっかり立てることが大切です。



    一般的なリフォーム会社では対応が難しい場合がある

    ツーバイフォー住宅は在来工法と異なる構造のため、対応していない会社もあります。
    特に、部分的なリフォームを扱っている会社は、構造に関する知識や経験が不足している場合があり、対応していないところもあるでしょう。

  • ツーバイフォー住宅のリフォーム・リノベーションは可能?

    ①制約はあるが、基本的にはリノベーション可能

    よく「ツーバイフォー住宅はリノベーションできない」と思われがちですが、実際にはリノベーション可能です。
    柱や梁ではなく「耐力壁」と呼ばれる壁パネル全体で家を支える構造のため、撤去できない壁が存在し、在来工法と比べて制約があります。この点からリノベーションが難しいと言われることがありますが、構造にルールが決まっているからこそ、計画時点で柱の位置や屋根の形が把握しやすいという特徴があります。そのため、構造を理解して計画すればスムーズに進めることが可能 です。



    ②部屋の使い方を工夫して暮らしやすく変えられる

    構造上、大きな変更が難しい場合でも、一つの大きな部屋を二つに間仕切りしたり、収納を増やすなど、工夫次第で暮らしやすい空間に変えることができます。



    ③構造上の工夫で大規模なリノベーションも実現可能

    耐力壁の配置や全体の壁量を考慮することで、耐力壁の位置を動かすことも可能です。しかしその際は、強度が落ちないよう、補強工事や構造計算をしっかり行うことが大切です。



    以上のようにツーバイフォー住宅は工夫次第でリノベーションの幅を広げられます。
    一方で、構造上の制約や注意すべきポイントもありますので、その詳細は次章で詳しく説明します。

  • ツーバイフォー住宅をリノベーションする際の注意点やポイント

    注意点①

    構造上必要な壁は撤去できない
    柱や梁ではなく、「耐力壁」と呼ばれる壁パネル全体で家を支える構造のため、場所によっては撤去できない壁が存在します。



    注意点②

    窓や扉の移動は制約がある
    耐力壁に開口を設ける場合、幅は原則4m以下に制限されており、自由に窓やドアを増設できるわけではありません。



    注意点③

    断熱・気密性能を損なわない施工が必須
    断熱と気密性の高さが特徴であるツーバイフォー住宅は、リノベーションで間取り変更をして壁を撤去したり、構造を変更する際には、断熱・気密性能を維持できるように施工する必要があります。



    注意点④

    ツーバイフォー住宅の施工経験が豊富な会社に相談することが重要
    ツーバイフォー住宅はリノベーションできるものの、在来工法やマンションと比べてリノベーションに制限があるため、施工経験が豊富な会社に相談することが大切です。

  • KULABOが施工したツーバイフォー住宅のリノベーション事例

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    2×4で叶える理想の間取り

    愛知県名古屋市中村区

    リノベーション費用:約1,600万円(2024年施工)

    間取り:(before)4LDK+納戸→(after)3LDK+書斎


    長年住み慣れた自宅を、広々としたリビングダイニングで家族がリラックスできる空間にリノベーション。壁を取り壊しつつも取り除けない柱やまぐさをデザインとして活かしています。




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    実家を増築して共に安心して暮らせる二世帯住宅へ

    リノベーション費用:約2,700万円

    間取り:(before)5LDK→(after)3LDK+1LDK


    ツーバイフォー工法の戸建を二世帯住宅へとリノベーション。既存の間取りを活かしつつ、居住空間を左右に分離。親世帯と子世帯が適度な距離感を保ちながら、シーンに応じて心地よく暮らせる住まいになりました。




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    ブルーグリーンの中でシンプルな暮らし

    愛知県刈谷市

    築年数:26年

    リノベーション費用:約880万円(2024年施工)

    間取り:(before)1Fのみ:1LDK→(after)1Fのみ:1LDK


    海外トレンドのカラードレンチングを取り入れ、部屋全体をブルーグリーン一色に統一。青みを帯びた木目をアクセントにし、ツーバイフォーの躯体を現して天井に凹凸をつけることで、リズミカルな変化を生み出しました。




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    経年変化が美しい自然素材の風合いが魅力の戸建リノベ

    築年数:40年

    リノベーション費用:約1,675万円(2022年施工)

    間取り:(before)6LDK→(after)5LDK


    親から譲り受けたツーバイフォー工法の戸建を、家族の暮らしに合わせてリノベーション。お気に入りの階段や天井はそのまま残し、経年とともに味わいが増す素材を選定。木の温もりが心を癒す住まいとなっています。




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    ホテルライク空間につながる光のアプローチ

    愛知県名古屋市守山区

    築年数:30年

    リノベーション費用:約2,800万円(2024年施工)

    間取り:(before)7LDK→(after)6LDK+WIC


    ライフスタイルの変化に合わせて実家をリノベーション。大幅な間取り変更は行わず、リビングとキッチンの間仕切り壁の一部をガラス開口にして空間に繋がりを持たせました。


  • まとめ

    リノベーションが難しいと思われがちなツーバイフォー住宅も、補強や工夫をすることで間取りやデザインの変更が可能です。

    KULABOでは、ツーバイフォー住宅のリノベーションにおいて、豊富な実績と専門知識を持っています。
    すでに物件をお持ちのお客様には、現地に担当者がご訪問させていただき、どのようなリノベーションが可能か、そしてそれにかかる費用感について丁寧にご説明させていただく現地調査を行っております。

    「どのくらい変えられるのだろう?」「いくらくらいかかるのだろう?」といった疑問や不安をお持ちのお客様は、ぜひお気軽にご相談ください。
    KULABOの専門家が、お客様一人ひとりの状況に合わせて、最適なご提案をさせていただきます。

このコラムの執筆者

KULABOのスタッフ

森居 寛幸

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