巾木で空間の印象はここまで変わる!おしゃれに見せる種類・高さ・色の選び方
2026年02月12日
2026年02月20日
「巾木なんて、どれも同じ」と思っていませんか?
実は、巾木(はばき)は空間の印象を大きく左右する重要なパーツです。
高さや色、素材の選び方ひとつで、部屋は洗練された空間にもどこか野暮ったい空間にも変わります。
この記事では、巾木の基本的な役割から、おしゃれに見せるための種類・高さ・色の選び方までをわかりやすく解説。さらに、リノベーション実例をもとに後悔しないポイントもご紹介します。
CONTENTS
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そもそも巾木とは?役割と意外な重要性
巾木とは、床と壁の境目に取り付ける仕上げ材のこと。
一見すると目立たないパーツですが、実は空間の耐久性とデザイン性の両方を支える重要な部材です。
主な役割は、大きく分けて3つあります。
1.壁を傷から守る
掃除機のヘッドや家具の脚が直接壁に当たると、クロスや塗装面は簡単に傷ついてしまいます。
巾木はその緩衝材として機能し、日常生活のダメージから壁を守ります。
2.クロスのめくれ防止
壁紙は床との取り合い部分が最もダメージを受けやすい箇所です。
巾木で押さえることで、端部の浮きやめくれを防止します。
3.施工誤差を美しくカバーする
床と壁は完全にぴったりと合っているわけではありません。
どうしても生じてしまう、わずかな隙間や施工誤差を隠し、美しく納めるための見切り材としての役割も担っています。 -
なぜ「おしゃれ・ダサい」の差が出るのか?
巾木は「目立たないけれど、必ず目に入る」位置にあります。
そのため、床・壁・建具と調和していないと違和感が生まれやすい部材でもあります。
例えば、
・素材感のミスマッチ:ナチュラルな床に対して真っ白の光沢巾木
・色味のズレ:モダンなグレー空間に既製品の木目巾木
こうした微妙なズレが、空間全体の完成度を下げてしまうこともあります。
反対に、巾木まで意図して設計されている空間は、どこか洗練された印象になります。
それは、細部までデザインが通っているからです。「たかが巾木」と妥協せず、空間の一部として正しく選ぶことが、おしゃれな部屋への第一歩となります。 -
おしゃれに見える巾木の種類と選び方
巾木にはいくつかの種類があり、それぞれに特徴や向いている空間があります。
素材や納まりの違いによって、空間の印象は大きく変わります。
大切なのは、「どれが正解か」ではなく、どんな空間にしたいのかに合わせて選ぶこと。
ここでは、代表的な巾木の種類とその特徴、さらにおすすめの部屋や向いているテイストまで詳しく解説します。
① 木巾木

■ 特徴
木巾木は、床材と同じ木素材で仕上げることができる巾木です。床と同素材にすることで自然な一体感が生まれ、空間全体がまとまりやすくなります。木ならではの質感があるため高級感を演出しやすく、無垢材を選べば経年変化による味わいも楽しめます。素材感を活かしたリノベーションとの相性が良い仕様です。
■ 注意点
既製品のシート巾木などと比較するとコストはやや高めです。また、無垢材の場合は湿度変化による反りや収縮が起きる可能性があるため、施工精度や環境への配慮が必要です。
■ おすすめの施工する部屋
・LDK
・家族が長時間過ごすメイン空間
・ナチュラル/北欧テイストの空間
■ こんな人におすすめ
床材との一体感を大切にしたい人。
素材感や質感にこだわりたい人。
② ソフト巾木

■ 特徴
ソフト巾木は、主に塩化ビニル素材でつくられた柔軟性のある巾木です。薄く、壁際にすっきりと納まるため、空間の中で主張しにくいのが大きな特徴です。比較的コストを抑えやすく、施工もしやすいため、マンションリノベーションなどでも広く採用されています。巾木の存在感をできるだけ消したい場合に適した仕様です。
■ 注意点
木巾木と比べると素材感や高級感はやや出にくい傾向があります。また、白系カラーの場合は経年による黒ずみや汚れが目立ちやすい点にも注意が必要です。デザイン性を重視する空間では、他素材とのバランスを検討することが大切です。
■ おすすめの施工する部屋
・寝室
・子ども部屋
・水まわりや収納スペース
・コストバランスを重視する空間
■ こんな人におすすめ
巾木をできるだけ目立たせたくない人。
コストと実用性のバランスを重視したい人。
③ アルミ巾木

■ 特徴
アルミ巾木は、金属ならではのシャープな質感が特徴の巾木です。エッジが美しく、直線的なラインを強調できるため、空間にモダンで洗練された印象を与えます。素材自体が硬く耐久性に優れており、汚れや衝撃に強い点もメリットです。細身でも存在感が出せるため、デザインのアクセントとして取り入れるケースもあります。
■ 注意点
ナチュラルテイストや温かみのある空間には、やや冷たい印象を与えることがあります。空間全体の素材感や色味との相性を慎重に検討することが大切です。また、金属特有の光沢が強く出すぎないよう、仕上げやカラー選定にも配慮が必要です。
■ おすすめの施工する部屋
・インダストリアルテイストのやモダンテイストの空間
・グレーやブラックを基調とした空間
・直線的なデザインを強調したい空間
■ こんな人におすすめ
デザイン性を強く出したい人。
シャープで都会的な印象をつくりたい人。
④ 巾木なし

■ 特徴
巾木を設けない仕様は、床と壁の境目に出っ張りがなく、非常にすっきりとした印象をつくれるのが最大の特徴です。空間の最下部に横ラインが出ないため、視覚的なノイズが減り、壁面がより美しく見えます。ミニマルで洗練された空間や、ホテルライクなデザインとの相性が良い納まりです。巾木がないことで、床と壁がシンプルにつながり、空間全体の完成度を高める効果もあります。
■ 注意点
巾木は本来、壁を保護する役割を持っています。そのため、巾木なしの場合は掃除機や家具の接触によるダメージが壁に直接伝わります。クロスのめくれや汚れが起きやすくなる点には注意が必要です。
また、床と壁の取り合い部分の施工精度がそのまま仕上がりに表れるため、下地精度や施工レベルが重要になります。物件や施工条件によっては対応が難しいケースもあります。
■ おすすめの施工する部屋
・ホテルライクな空間
・ミニマルデザイン
・生活感をできるだけ抑えたい空間
・デザイン性を重視したLDK
■ こんな人におすすめ
とことんノイズを減らしたい人。
細部までこだわった空間づくりをしたい人。
見た目の美しさを最優先に考えたい人。 -
印象を左右する巾木の「高さ」と「色」の考え方
巾木は種類だけでなく、「高さ」と「色」によっても空間の印象が大きく変わります。
わずか数センチの違いや色の選び方ひとつで、部屋はすっきりも重厚にも見えるのです。
空間コンセプトに合わせた考え方が、完成度を左右します。
■ 高さは「存在感を出す」か「目立たせない」かで決める
・3cm前後 → 目立たせない/すっきり
・6cm以上 → クラシック/存在感あり
天井が低い空間では、低めの巾木がバランス◎
■ 色は「どこに合わせるか」で印象が変わる
1.床と合わせる → 一体感
2.壁と合わせる → 巾木の存在感を消す
3.建具と合わせる → ラインを揃える
4.あえてアクセントにする → デザイン性UP
空間の主役をどこにするかで選び方が変わります -
リノベーションで巾木を選ぶときの注意点
巾木は小さなパーツですが、リノベーションでは意外と後悔が生まれやすい部分でもあります。
デザイン性だけで選ぶのではなく、「変更のしやすさ」「空間全体との関係性」「物件ごとの制約」まで理解しておくことが重要です。
① 巾木は後から変えにくい
巾木は、床と壁の取り合い部分に施工される仕上げ材です。一見すると取り外しが簡単そうに思えるかもしれませんが、実際には「巾木だけを交換する」というのは難しいケースがほとんどです。
というのも、巾木は壁クロスや塗装、床材と密接に関わりながら納められているためです。付け替えを行う場合、壁クロスの張り替えや補修が必要になったり、塗装をやり直す必要が出てきたりと、周囲の仕上げにまで影響が及ぶことが一般的です。また、床との取り合い部分の調整が発生することもあります。
特に、壁と同色で塗装仕上げにしている場合や、建具や造作家具とラインを揃えたデザインにしている場合は、部分的な変更がより難しくなります。デザイン性を高めるほど、やり直しのハードルも上がるという側面があるのです。
「完成してみたら、思ったより主張が強かった」「空間の雰囲気と少しズレている気がする」と感じても、簡単に修正できない部材であることを理解しておくことが大切です。だからこそ、巾木は後回しにせず、計画段階からしっかり検討しておきたいポイントといえるでしょう。
② 床や建具、壁とセットで考える必要がある
巾木は、単体で選ぶものではありません。空間の最下部をぐるりと囲む横ラインをつくる存在だからこそ、周囲との関係性がとても重要です。
例えば、床と色味が合っていなかったり、建具とのトーンが揃っていなかったりすると、巾木だけが境界線として強調されてしまいます。結果として、空間全体がどこかちぐはぐに見えたり、意図しないところで視線が止まってしまったりすることもあります。壁の色と調和していない場合も、巾木のラインだけが浮いて見える原因になります。
一方で、意図をもって選ばれた巾木は、空間の完成度を大きく引き上げます。床と色を揃えれば一体感が生まれ、落ち着いた印象になります。壁と同色にすればラインが目立たなくなり、すっきりとした空間に。建具とトーンを合わせれば、空間に通ったデザインラインが生まれ、より洗練された印象をつくることができます。
巾木は空間の輪郭を決める要素のひとつです。だからこそ、床材や建具、壁仕上げを決めるタイミングで、巾木まで同時に検討しておくことが理想といえるでしょう。
③ マンションと戸建てでは、巾木の「選びやすさ」が違う
巾木の仕様は、デザインの好みだけで決まるものではありません。実は、物件の構造によって選べる納まりや仕上げが変わることがあります。同じように見える空間でも、マンションと戸建てでは前提条件が異なります。
■ マンションの場合
マンションでは、遮音フローリングの厚みや二重床構造、コンクリート壁へのクロス直貼りなど、構造上の制約があります。特にコンクリート壁(射体)は削ることができないため、壁を厚くしてスペースを作る「壁をふかす」工程を挟まない限り、壁の内側に巾木を隠す「入巾木(いりのはばき)」のようなデザインは難しいケースがあります。
また、管理規約によって共用部や構造体に影響する工事が制限されることもあり、施工内容に一定の制約がかかることがあります。こうした背景から、既製品の巾木から選ぶのが一般的となり、特殊な造作の選択肢は戸建てに比べるとやや限定される傾向があります。
■ 戸建ての場合
戸建ては下地調整の自由度が高く、壁のふかしや造作がしやすいのが特徴です。構造的な制約も比較的少ないため、入巾木やデザイン性の高い納まりなど、細部までこだわった仕様も検討しやすくなります。
その分、設計の幅は広がりますが、空間全体とのバランスを意識した選択がより重要になります。
同じ「おしゃれにしたい」という希望でも、物件種別によって実現方法は変わります。理想のデザインを考えると同時に、構造条件を踏まえて検討することが、満足度の高いリノベーションにつながります。
物件の特性を理解したうえで巾木を選ぶことが、失敗を防ぐポイントです。
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KULABOのリノベーション事例で見る「巾木」の工夫
高さ3cm×壁同色

海外風ロングキッチンが主役のナチュラルモダンリノベ
愛知県豊田市
築年数:29年
間取り:(before)4LDK→(after)3LDK
リノベーション費用:約1,100万円(2023年施工)
こちらの事例では、高さ約3cmの巾木を壁と同色で仕上げています。
床はナチュラルな木目、壁はやわらかなホワイト。
巾木を壁と同色にすることで、床と壁の境界ラインが強調されず、空間全体がすっきりと見えます。
また、キッチンやタイル壁など直線的な要素が多い空間だからこそ、下部のラインを抑えることでノイズを減らし、洗練された印象を生み出しています。
高さ3cm×床同色

夫婦2人の憩いの場所へ
愛知県西尾市
築年数:28年
間取り:(before)4LDK→(after)4LDK+WIC
リノベーション費用:約1,380万円(2022年施工)
こちらの事例では、高さ約3cmの巾木を床材と同色で仕上げています。
ナチュラルな木目のフローリングに合わせて巾木も同色にすることで、床から壁へのつながりが自然に生まれ、空間全体に統一感が出ています。巾木が強く主張することなく、床の延長線上として視覚的に溶け込んでいるのが特徴です。
壁はシンプルなホワイトでまとめられており、巾木が床側に寄り添うことで、壁面はすっきりとした印象を保っています。結果として、空間に安心感と落ち着きが生まれ、リビングとしての居心地の良さが引き立っています。
高さ6cm×床同色

アンティーク家具に馴染む古材を活かした戸建リノベ
愛知県豊田市
築年数:32年
間取り:(before)4LDK→(after)3LDK
リノベーション費用:約650万円(2021年施工)
こちらの事例では、床と同色の巾木を採用しつつ、高さをややしっかりと持たせています。
木目のフローリングと色味を揃えることで一体感を保ちながらも、巾木の高さによってラインの存在感を適度に出しているのが特徴です。
低めの巾木に比べると、空間の足元が引き締まり、全体に安定感が生まれます。
高さ3cm×アクセントカラー

家事動線が完璧なモダンブリックスタイルの二世帯住宅
愛知県名古屋市緑区
築年数:26年
間取り:(before)5LDK+納戸→(after)4LDK+LDK+WIC+ランドリールーム+納戸
リノベーション費用:約2,850万円(2022年施工)
こちらの事例では、高さ約3cmの巾木をアクセントカラーで仕上げています。
空間全体は温かみのある木目フローリングをベースに、ブラックの建具やキッチンが印象を引き締めるデザイン。巾木もそのトーンに合わせることで、空間の最下部に細いブラックラインが入り、全体の輪郭がよりくっきりと整えられています。
入巾木

ごろごろリビングでくつろげる家
愛知県名古屋市南区
築年数:15年
間取り:(before)4LDK→(after)2LDK+WSC
リノベーション費用:約610万円(2018年施工)
こちらの事例では、巾木を壁の中に納める「入巾木」を採用しています。
一般的な巾木は壁の手前に出っ張る形で施工されますが、入巾木は壁面をふかし、その中に巾木を納める仕様です。床と壁の境界に出っ張りがなくなるため、空間がよりフラットに見えるのが特徴です。
この事例では、モルタル調のキッチンや木目フローリングなど、素材の表情がはっきりした空間構成になっています。だからこそ、足元のラインを極力目立たせないことで、空間全体のノイズを抑え、より洗練された印象を生み出しています
巾木無し

R+愛猫と暮らす
愛知県春日井市
築年数:12年
間取り:(before)4LDK→(after)3LDK+WIC
リノベーション費用:約950万円(2023年施工)
こちらの事例では、あえて巾木を設けない仕様を採用しています。
床と壁の境界に出っ張りやラインが生まれないため、空間全体が非常にフラットに見えるのが特徴です。視線が遮られず、壁面がすっと立ち上がることで、より洗練された印象を与えます。
この事例のように、白を基調としたミニマルな空間では、巾木をなくすことでノイズが減り、素材の質感や陰影がより際立ちます。
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まとめ
巾木は、ほんの数センチの小さな部材です。
しかし、その高さや色、納まりの違いによって、空間の印象は大きく変わります。
目立たせるのか、消すのか。床と揃えるのか、壁に溶け込ませるのか。あえてアクセントとして効かせるのか。
その選択ひとつで、空間の重心や広がり方、洗練度はまったく異なります。
また、巾木は後から簡単に変更できる部材ではありません。
床や建具、壁仕上げとセットで考え、物件の構造条件も踏まえたうえで検討することが、後悔しないリノベーションにつながります。
KULABOでは、床材や建具といった大きな要素だけでなく、巾木のような細部まで含めて空間を設計しています。
細かなディテールが積み重なることで、住まいの完成度は大きく変わるからです。
「なんとなく標準仕様で」ではなく、足元までこだわった住まいづくりを。
巾木は、その第一歩となる重要なパーツです。
このコラムの執筆者
大石 幸乃











