手狭になった家をさらに暮らしやすくする増築リノベとは?
2023年07月14日
2024年11月18日
家族が増えたり、親と同居することになったりとライフスタイルや家族構成に変化があったとき、今のお住まいが手狭に感じたことはないでしょうか。そんなときの1つの解決策が、増築リノベーションです。増築リノベーションであれば、慣れ親しんだ住まいはそのまま残しながら居住スペースだけを増やし、より快適な住まいをつくることができます。
この記事では、住まいを増築するメリット・デメリット、増築を行う上での注意点、増築が難しかった時の代替案をお伝えします。現在お住まいの家が手狭になってお困りの方は、是非一読ください。
CONTENTS
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「増築」の定義とは?よく聞く「改築」との違いは何?
まずはじめに「増築」とは、既に建っている建物を取り壊さずに建物の床面積を増やすことを言います。例えば、下記のような工事内容が増築に該当します。
[増築に該当する工事]
・平屋を2階建てにする
・敷地内に新たに建物を建築する
・部屋を追加する
・サンルームやバルコニーを新設する
増築と意味が混同しやすい言葉で「改築」がありますが、改築は既存の建物の床面積を変えずに、建物の構造部分の一部または全部を取り壊して間取り変更を行うことを指します。
[改築に該当する工事]
・壁を撤去して2部屋を1部屋にする
・水回りの位置を変更する
・和室を洋室にする
例を挙げれば、上記の工事内容が改築に当てはまります。 -
住まいを増築するメリット・デメリット
次に、増築にはどのようなメリット・デメリットがあるか確認してみましょう。
メリット・居住スペースが増える
まず第一に、居住スペースが増えるメリットが挙げられます。新たに子ども部屋や書斎をつくりたいときや、親との同居で居住スペースが足りなくなったとき、増築によって必要な分だけ居住スペースを増やすことができます。さらには、「収納スペースが不足していて、家の中に物が溢れてしまっている!」という場合も、増築をすれば居住スペースを減らすことなく収納スペースを確保することができます。
・建て替えよりコストが安い
建て替えをする場合、建設費用に加えて既存の建物を解体する費用や廃棄物処理費、仮住まい費、引っ越し費用等がかかります。増築は住みながら工事できることも多く、工事範囲も一部のみ取り壊すというケースが多いため、建て替えよりもコストを抑えることができます。
デメリット・見栄えが悪くなることがある
既存の建物とまったく同じ外壁材や屋根材を準備できないことが多く、見た目が不揃いになってしまいます。さらに、築年数が経過していくと紫外線によって外壁は色褪せてゆくので、既存の建物の部分と新たに増築した部分の違いが目立ってしまいます。
・建物の接合部分の強度が弱い可能性がある
増築は、既存の建物を一部解体して新たに建物を付け足すことになるので耐震性に差が生じます。万が一接続が不十分だった場合、地震が起きたときにヒビが入ったり、大雨や台風で雨漏りするリスクが高まる可能性があります。
・固定資産税が上がる
固定資産税は1月1日時点での不動産所有者に課税される税金で、税額は資産価値に応じて決められます。増築によって床面積が増えた場合、その分建物の価値が上がったと判断され、固定資産税があがる傾向にあります。
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増築を行う場合の注意点
次に、増築リノベーションを行う際の注意点をご紹介します。建物によっては増築できない可能性もでてきますので、必ず事前に確認しておきましょう。
●耐震性を考慮する
先程デメリットの一例であげたように、増築は既存の建物を一部解体して新たに建物を付け足すことになるので耐震性に差が生じてしまい、この耐震性の差が倒壊のリスクを高めます。永く安心して暮らせるように、既存の建物と増築した部分の耐震性能が合うようにしておくことが大切です。
また、既存の建物が現行の耐震基準を満たしていないと、既存の建物の耐震工事を行わなければ増築も行えません。工事前に、既存の建物の耐震基準の確認を欠かさないようにしましょう。
●10㎡を超える増築は建築確認申請をする
建築確認申請とは、自治体に「建物が建築基準法に適合しているか」というのを確認してもらい、建築の許可を得るための手続きのことです。10㎡以上の増築を行う場合は、この建築確認申請を行わなければなりません。さらには、10㎡未満の増築でも、防火または準防火地域に指定されているエリアで増築を行うのであれば、増築の面積に関わらず建築確認申請が必要となります。増築の面積によって、建築確認申請にかかる費用は異なりますので事前に確認しておきましょう。
●鉄筋コンクリートだと断られる場合がある(非木造住宅の場合)
一般的な増築の方法としては「木造」での増築が主流です。そのため非木造(鉄鋼造、RC造)の住宅で増築をする場合は、元々の工法での増築が難しい場合があります。
元々の工法で増築をする場合は、別途構造計算等も行えば可能ですが、木造での増築時以上に費用がかかってしまうケースが多いです。
また、マンションも基本的には増築が出来ません。 -
KULABOで施工した増築リノベーションの施工事例
あの頃の面影を残し未来へ繋ぐ家
愛知県豊田市/I様邸
費用:約3,470万円(2022年施工)
施工面積:162.5㎡
築年数:築30年
家族構成:ご夫婦+お父様
ご結婚を機に、ご主人様の実家をリノベーションすることを検討し始めた施主様。将来のことも考慮し、お父様が1階で生活が完結できる環境をご希望されていました。元々の間取りで1階に1部屋増やすことは難しかったため、お父様の寝室を増築しています。
間取り図:Before 3LDK+納戸▷After 3SLDK+WIC
実家を増築して共に安心して暮らせる二世帯住宅へ
愛知県
費用:約2,700万円
施工面積:181.06㎡
家族構成:5人
お子さまの成長をきっかけにマイホームを考え始めた施主様は、三世代で同じ家に暮らしたいという想いからご実家での二世帯同居を検討されていました。既存の間取りを極力活かしながら、広い庭を有効利用して子世帯の洗面・浴室を新たに増築しています。
間取り図:Before 5LDK▷After 3LDK+1LDK
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増築できない物件の特徴
●再建築不可の物件(接道義務や前面道路の幅員4m未満)
まず「再建築不可」の物件とは、既存家屋を取り壊して立て直しが出来ない物件のことを指します。基本原則としては、こういった物件の増築(改築)は出来ません。
ただし、再建築不可の物件の場合でも、その原因を解消することが出来れば増築も可能になります。その原因とは「接道義務」を満たしていないことにあります。
「接道義務」:道路に接している幅が2m未満、接している道路の幅員が4m未満
現在の建築基準法では、建物を建てる際には上記の「接道義務」を満たしていなければなりません。ただし、確認申請が不要な工事規模の場合は増築を行うことが可能です。
確認申請が不要な規模としては、
例)10㎡以内の増改築
※ただし、防火・準防火地域に該当市内地域のみ
が挙げられます。
●建蔽率・容積率が超える
増築をした場合は、床面積が変わります。その際に気を付けないといけないのが、「建蔽率」と「容積率」です。
「建蔽率」:敷地面積に対して建物が建築できる面積の割合
「容積率」:敷地面積に対する延べ床面積の割合
建蔽率や容積率の上限を超えた建物をたてることは認められていませんので、建築基準法の規定内で増築を計画しなければなりません。建蔽率と容積率の割合は、用途地域ごとに分類されていますので、予め確認しておくことが大切です。
その他にも、北側斜線制度や高さ制限など、建物の高さに制約を受けることがあるので注意が必要です。 -
増築できない場合の代替手段を検討する
様々な理由で「増築」が難しいとなった場合でも、増築したい理由によってはカバーできる方法があります。ここでは、リノベーションのアイデアをいくつか例を挙げて紹介します。
01.造作内窓やガラス戸を付け、視線の抜け感を演出する
02.収納方法を変えて部屋を広く見せる
03.膨張色の明るい色で内装デザインをまとめ、空間を広く見せる
04.一部吹き抜けをつくる
05.1つの空間を2つの使い方で取り入れる
▶施工事例を詳しく見る
こちらの事例は、部屋の代わりに多目的で使えるワークスペースをつくりました!
06.間取り変更する際に「廊下」等の無駄なスペースを最小限で設計する
▶施工事例を詳しく見る
こちらの事例では、空いたスペースを収納やLDKに取り込みました!
07.屋根裏にロフト空間をつくる
08.子ども部屋をミニマムに設計する
実際に上記のようなアイデアを駆使して「増築」をせずに、問題解決できた方もいらっしゃいます!
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住まいに関する悩みはKULABOにご相談ください!
今回は、手狭になった住まいの問題を解消する選択肢の一つとして、「増築リノベーション」を取り上げました。増築は、必要な分だけ居住スペースを増やすことができ、建て替えよりもコストを抑えることが出来ます。
しかし、建築基準法によって制約がある場合や建物の構造が鉄筋コンクリートの場合、増築リノベーションを行うことが難しいと判断されることがあります。そのようなときは、増築をせずに今ある住まいを活かしながら間取り変更することで快適な暮らしを実現できることもあります。
>>>増築をせず二世帯住宅化したKULABOの事例<<<
KULABOでは、幼い頃から慣れ親しんだ住まいや新しく購入した住まいを、今よりももっと快適な住まいとなるようにお客様の暮らしに沿った住まいとなるようご提案いたします。まずは、叶えたい暮らしや現在のお困りごとをなんでもお聞かせください。豊富な知識のあるスタッフがお客様のご希望をお伺いします。
このコラムの執筆者
青木 一晃