リノベーションで倉庫を住宅に!メリットや費用相場をチェック
2023年12月22日
2024年12月07日
倉庫を住宅や店舗、オフィスなどに改修する「倉庫リノベーション」。最近人気が集まっています。柱や壁の無い広々とした空間や、高い天井など、一般住宅には無い魅力が倉庫にはあります。
この記事では、住居にするための倉庫リノベーションに焦点を当て、実施する際のメリットやデメリット、そして費用相場や事例を紹介していきます。
CONTENTS
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倉庫リノベーションの用途
倉庫リノベーションは、古い倉庫を再利用するだけでなく、その特有の広さや構造を活かして多様な用途に対応できる魅力的な選択肢となっています。ここでは、倉庫リノベーションがどのように活用されているのか、いくつかの具体例を紹介します。
住宅
倉庫リノベーションでは、倉庫ならではの広々とした空間や、高い天井を活かして開放的な間取りの住宅を計画することができます。倉庫の無機質な内装を活かすことで、インダストリアルな雰囲気のインテリアにすることもおすすめです。
店舗
近年増えつつある倉庫リノベーションした店舗は、ショップや飲食店、スタジオなど様々な用途に対応できる柔軟さが魅力です。入口の扉や正面の壁のデザインを替えることによって、店舗らしいおしゃれな印象になります。
オフィス
倉庫リノベーションでは間仕切り壁や柱が無い広い空間がとれるため、レイアウトの自由度が高く、いい意味でオフィスらしくない開放的な空間をつくることができます。物件を取得する費用が比較的抑えられる点も嬉しいポイントです。
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倉庫リノベーションのメリット・デメリット
倉庫のリノベーションは、倉庫を新たな用途に適応させたり、機能性を向上させたりするための有効な手段です。ただし、倉庫リノベーションにはメリットだけでなく、注意すべき点もあります。それでは、倉庫リノベーションをするメリット・デメリットを確認していきましょう。
メリット・間取りの自由度が高い「スケルトンリノベーション」が可能
「スケルトン」とは「骨組み」を意味する言葉です。スケルトンリノベーションは、建物を躯体のみにして一から間取りや設備を作り上げていく非常に大掛かりなリノベーション工事になります。一般的な住宅の場合、建物の耐震強度を保つためにどうしても取り除くことが出来ない「筋交」や「耐力壁」があり、間取りの自由度が制限されてしまいます。しかし、倉庫はもともと柱や壁が無いため、空間の配置を自由に決めることができます。
・オリジナルのプランを低予算で実現可能
倉庫をリノベーション物件とすることで、費用を安く抑えることが可能になります。一般的な住宅よりも設備や内装仕上げがないため、解体費用を安く抑えられることと、物件そのものが戸建てよりも安価なことが理由としてあります。そのため、本来予算オーバーとなってしまったことも内容次第では実現可能になるかもしれません。また、無駄な柱や壁がもともと無い倉庫ですので、間取りを製作する際にも無駄のないプランニングが可能です。
デメリット・耐震性能に不安
もともと倉庫は居住用に設計されておらず、あくまで収納スペースとして作られています。屋内に柱や壁が無い分耐震強度も低くなってしまう傾向にあります。そのため、大きい地震が来た時には崩壊してしまうことも考えられます。倉庫を居住用としてリノベーションする際には「耐震工事」も併せて検討しておくと、災害が発生しても安心です。
・断熱の補強工事も併せて必要
住宅やマンションの外壁直下には「断熱材」があり、外気の影響を屋内に与えない役割を果たしています。断熱材がないと、外気温が屋内に直接影響を及ぼし、過ごしづらいだけでなくエアコンなどの家電もフル稼働する必要があるため電気代も高額になりがちです。さらに、断熱材には防音材としての効果もあります。防音性能が低いと外の騒音が屋内に、生活音が屋外に漏れてしまいます。断熱効果だけでなく、防音性能を確保するためにも断熱工事を検討しましょう
・窓が少ない
物品の保管や貯蔵を目的として作られている倉庫は、建築基準法では窓が無くても問題ありません。しかし、倉庫を住居用にリノベーションする場合は窓の取り付けが必要になります。窓がないと採光が確保できないため家の中が暗くなり、さらに、喚起もできないため暑さや湿度、においなどが家の中に留まってしまいます。快適なお住まいを作り上げるためにも、窓の計画も重視しましょう。
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倉庫リノベーションの費用相場とは?
中古物件のフルリノベーションを実施する際、戸建ての場合は約1,200~2,500万円、マンションの場合は約600~900万円が平均的な金額になります。倉庫においても、リノベーション工事自体は戸建てやマンションと同様なので、約600~2500万円くらいを目安として見ておきましょう。
しかし、この費用相場は「断熱性能」や「耐震性能」、「インフラ工事(水道、ガス、電気の引込工事)」が既に整っている場合の相場です。前項でも述べた通り、倉庫はあくまでも「収納スペース」であり住居用として作られていません。快適に、そして安心して生活するためには、断熱や耐震、インフラの工事が追加で必要になってくる場合がありますので、リノベーションや物件の金額だけでなく、付帯工事にもきちんと目を向けて予算を組んでいきましょう。 -
倉庫リノベーションの注意点
倉庫リノベーションを行う際には、いくつかの重要な注意点があります。まず、倉庫が建てられている地域や用途に関する規制を理解することが必要です。以下の点を押さえて、スムーズなリノベーションを進めるための準備をしましょう。
・用途地域によっては住宅として利用できない可能性がある
倉庫は一般的に、用途規制が比較的緩やかな工業系・商業系の地域に建てられることが多いです。中でも、工業専用地域では住宅を建てることができず、リノベーションの場合でも住宅として利用することができません。倉庫を住宅にリノベーションする場合は、用途地域選びに十分注意しましょう。
・用途変更の確認申請手続きが必要になる場合がある
倉庫リノベーションにより学校や診療所、ホテルなど、建築基準法で「特殊建築物建物」と呼ばれる使い方をする場合、面積が200㎡を超えると検査機関への審査が必要になります。どのような用途にリノベーションをするかによって手続きの有無が変わるため、事前に設計士に確認をしましょう。
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倉庫リノベーションの事例紹介①
倉庫をプライベートサロンと、ママ友達と集まれる開放的なリビングにリノベーション愛知県海部郡飛島村/M様邸
間取り:倉庫→1LDK+サロン
費用:約2,000万円(2021年施工)
工事期間:約4カ月
施工面積:66㎡
築年数:約39年
もともと敷地内にあった倉庫をリノベーション。サロンと家族が出入りする玄関を別々に設計し、どちらの動線からもトイレと洗面室に行きやすいよう間取りを入念に計画しました。サロンとリビングの間に廊下を設けることで、お互いの話し声が直接聞きづらくなるよう配慮がされています。外壁や屋根の張り替え、増築をして外観はまるで新築のような南米風平屋にリノベーションしています。
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倉庫リノベーションの事例紹介②
倉庫の1階部分を丸ごとLDKにリノベーション愛知県岡崎市/M様邸
費用:約1,300万円(2016年施工)
施工面積:102㎡
築年数:約17年
高い天井と大きな窓で開放感あふれるLDKを演出。壁一面を使った造作テレビラック兼本棚があり、デザイン性と機能性を兼備しています。家族全員分の専用クローゼットスペースもつくり、家族全員の空間と個々人の空間をうまくとりいれた空間が完成しました。ビルトインエアコンはLDKの中央に設置し、空調も充実しています。
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まとめ
自由度が上がるだけでなく、費用も抑えることができる「倉庫リノベーション」。耐震や断熱性能、インフラ整備を整えれば、戸建てやマンションにも負けない快適な住まいを実現することが出来ます。不動産価格の上昇が著しい昨今、「倉庫」もリノベーション物件の選択肢として検討してみてはいかがでしょうか。
KULABOではこれまで数多くのリノベーション工事に携わらせていただいた経験から、幅広いご提案が可能になっています。もちろん、倉庫リノベーションの実績もあるので、ご検討の際には是非一度ご連絡ください。
このコラムの執筆者
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土田 大翼